月夜に想ふ
lue
月夜に想ふ
八月の夜
ふと 夜空を見上げると月がとても綺麗だった
薄く輝く月
本当に美しく
そしてどこか 懐かしい感情を覚えた
何故 月を見るとこんなにも美しく感じるのだろう?
何故 月を見るとこんなにも愛おしく思えるのだろう?
そこには実は ちゃんとしたワケがある
そのむかし…
それは本当に 遠い遠いむかしのお話
地球人と金星人は深く愛し合っていた
『愛と美』を象徴とするこの惑星は
長い歳月をかけ 地球人との確かな愛を育んだ
しかし 地球と金星とでは距離的に遠く
当時のテクノロジーをもってしても 信号を送り合うには
技術的に難しかった
何か手はないものだろうか?
お互いを想う地球人と金星人は考えた
そこで 計画し造られたのが
現代で呼ぶところの月である
地球と金星の距離では信号は届かない
ならば 電波塔の役割を持った人工の衛星を打ち上げ
中継局として 信号を増幅させる事を考えた
そうして造られ 打ち上げられたのが月なのである
計画は上手くいき 地球と金星は
月から届く信号を下にさらなる親睦と愛情を深めた
それが 遠い遠いむかしにあった
地球と金星 そして月との関係なのである
そして その関係は長く永く続いたが
何事にも終わりはやってくるように やがて転機が訪れる
地球にも遠い未来 いつかは寿命がきて人が住めなくなるように
金星にも星としての寿命がきた 地球よりも遥かに先に
金星人は星を棄て 移住する事を余儀なくされる
しかし それは簡単な事ではなかった
現代科学が 未だに宇宙人とのコンタクトを取れずにいるように
人類が住める星というのは 今も当時もそう易々とはないのである
結局 金星人が見つけ出し 移住先に選んだ星は
それはそれは 地球からは遠く離れた惑星だった
月があっても 電波も信号も届かないほどに
地球人も金星人もそれを大層 哀しんだが
残念ながらそこにもう 選択肢はなかった
そうして 金星から人々は去り
役目を失った月と 誰も住まない金星だけが残された
……
月を綺麗と感じるのは
そうした 金星を愛した祖先の遠いむかしの記憶と
地球人の遺伝子に刻まれた
月に向け金星に向け送った 確かな愛情の証なのである
そして 歳月は流れ
今日における 金星の温度は約460度
今では 人の住める環境ではなくなってしまったけれど
月はかつて地球が 金星を愛したその名残として
今も夜空に
(現在でも 月の中核
アポロ計画では届かなかった 地中の奥深くに
月本来の役割である 電波塔の機能は確かに存在している
おそらく まだ動くだろうと思われるが
いつかの未来 人類が再びそれを発見し
再び人の手で稼働させる日がやって来るものと
きっと 私は信じている)
月夜に想ふ lue @route_lue_12
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