概要
折られた紙が、今夜の男を決める。
「お前は、女に選ばれるためにいる」
買われて連れてこられた夜、僕は名を捨てさせられた。
与えられたのは玉利という呼び名と、錠の下りる蔵と、たった三つの決まりごと。
顔を上げるな。呼ばれるまで出るな。誰のものにもなるな。
夜、戸の外に懐紙が置かれる。折られた形が、今夜呼ばれる男を決める。
鶴。兜。舟。風車。
誰が折ったのかは、教えられない。
その紙を拾いに来るのは、いつも同じ女だ。
明かりを持たず、足音でしか分からない。匂いがしない。
椿。
十二人の女を数え、膳を数え、男を数える人。
自分だけを、どこにも数えていない人。
――玉利に触れてよいのは、呼ばれた者だけである。
その規則を作ったのは、椿だ。
そして椿には、折るものがない。
買われて連れてこられた夜、僕は名を捨てさせられた。
与えられたのは玉利という呼び名と、錠の下りる蔵と、たった三つの決まりごと。
顔を上げるな。呼ばれるまで出るな。誰のものにもなるな。
夜、戸の外に懐紙が置かれる。折られた形が、今夜呼ばれる男を決める。
鶴。兜。舟。風車。
誰が折ったのかは、教えられない。
その紙を拾いに来るのは、いつも同じ女だ。
明かりを持たず、足音でしか分からない。匂いがしない。
椿。
十二人の女を数え、膳を数え、男を数える人。
自分だけを、どこにも数えていない人。
――玉利に触れてよいのは、呼ばれた者だけである。
その規則を作ったのは、椿だ。
そして椿には、折るものがない。
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