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概要
便利は、二の次だった。まず、いのち。
崖で地層の不整合面をハンマーで叩いた瞬間、石動玄(いするぎ げん)五十二歳は、五万年前の氷期に落ちた。
裸だった。持ち物はひとつもない。あるのは、たるんだ中年の身体と、四十年ぶんの地質学の知識だけ。
火は熾せない。水は読める。虫は食える。知っていることと、できることは、別の地層だった。
やがて玄は、この時代に生きるヒトたちと出会う。磨いた貝殻を首から下げ、火を扱い、死んだ者を暗い洞へ運んで歌で送る人々。玄は「教えてやる」つもりで近づき、そのたびに、自分の物差しのほうが折れていく。
便利は、二の次だった。まず、いのちだった。そして、こころというやつは、土器より、金属より、農業より、ずっと前から、そこにあった。
旧石器後期の日本。考証を積んだ、掌握しないタイムスリップ小説。
裸だった。持ち物はひとつもない。あるのは、たるんだ中年の身体と、四十年ぶんの地質学の知識だけ。
火は熾せない。水は読める。虫は食える。知っていることと、できることは、別の地層だった。
やがて玄は、この時代に生きるヒトたちと出会う。磨いた貝殻を首から下げ、火を扱い、死んだ者を暗い洞へ運んで歌で送る人々。玄は「教えてやる」つもりで近づき、そのたびに、自分の物差しのほうが折れていく。
便利は、二の次だった。まず、いのちだった。そして、こころというやつは、土器より、金属より、農業より、ずっと前から、そこにあった。
旧石器後期の日本。考証を積んだ、掌握しないタイムスリップ小説。
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