隣は何をする人ぞ……

平凡なサラリーマン茨木ハルトが、何気なくダウンロードした他人の行動を読み取るアプリ「QR行動」をきっかけに、社会全体を巻き込んだ大騒動に巻き込まれていく話。

相手の顔をスキャンするだけで直近八時間の行動履歴が読める、というQR行動のアイデアが面白い。携帯キャリア会社やSNSのプラットフォーマーは、現実に我々の行動をそれ以上に仔細に監視してるだろうな......ということを含めファンタジーになり過ぎない現実味と生々しさがある。

ただまあ、現実的に考えると大したメリットは感じないだろうな、他人の行動を知るなんて……。職場の誰と誰が浮気しているとか、最初は面白く感じるかも知れないが、そのうちふーん......みたいな感想になって何も思わなくなりそうだ。
主人公のハルトは、広告代理店所属の営業マンなので、アプリを仕事に有効活用する場面も結構あるのだが。

面白いのは後半になって、QR行動の効能が広く知られることになり、誰もかれもアプリをダウンロードし人の顔をスキャンする世の中になっていくくだりだ。今までできなかったことができるようになる。それはつまり、人々の欲望が剥き出しになる瞬間でもあり、この作品は社会のそういった醜さをしっかりと描いている。

近年のSNS的な相互監視社会に思うところのある人、人間の怖さを描くスリラーが好きな人におすすめの一作。