第45話 遠征メンバーを決めたら、留守番組の方が強そうだった
遠征は、その日の住民会議で決まった。
湊は最初、全員で行けばいいと思っていた。
即座に却下された。
「交易所どうするの」
レナ。
「森どうするなの」
フィア。
「夜間警備も必要だ」
シエラ。
「食堂閉めたら客が困ります」
ミナ。
湊は頷いた。
「じゃあ留守番いるな」
「最初からそう言ってる」
結局、遠征組は四人になった。
湊。
レナ。
アデル。
ルゥ。
ピィは当然のように湊の肩なので、人数に含めるかで少し揉めた。
「ピィは一人なの!」
フィアが主張する。
「鳥だけど」
「ピィ!」
「怒った」
留守番は、ミナ、フィア、シエラ、ヴェルナ、ミノタウロス。
一覧を見た湊は少し考える。
「留守番の方が強くない?」
シエラが真顔で答えた。
「守備とはそういうものだ」
「なるほど」
アデルが必要物資を読み上げる。
「保存食、通信端末、旧式魔力測定器、簡易契約紙、対呪装備、野営用品」
「多いな」
「遠足ではございませんので」
「弁当は?」
「それもございます」
「あるんだ」
ミナが包みを差し出した。
「湊さん、途中で適当に済ませるので」
「食べるよ」
「栄養バーだけで食事扱いにしないでください」
ルゥが鼻を鳴らす。
「たぶん忘れる」
「覚えてるって」
「昨日も昼食忘れた」
「……昨日は忙しかった」
出発直前、フィアが湊の服を引っ張った。
「変なの拾ってくるななの」
「拾わないよ」
全員が湊を見る。
「なんでそんな顔するの」
ヴェルナが淡々と答えた。
「実績がある」
「今回は調査だけ」
「その言葉を記録しておきましょう」
アデルが本当に端末へ入力した。
「消して」
「却下いたします」
出発する。
Sanctuaryの入口を抜けると、ミノタウロスが低く頭を下げた。
シエラも剣を胸元へ立てる。
「留守は任せよ」
湊は振り返った。
以前なら、自分がいなくなることに少し不安があったかもしれない。
今はなかった。
交易所ではすでに荷車が動き始めている。
ミナは朝食の片づけをし、フィアは森へ戻り、ヴェルナは魔族側との連絡を始めていた。
湊がいなくても、ここは止まらない。
SYSTEMが小さく表示を出した。
【共同帰属領域:安定】
SPは増えなかった。
湊はそれを見て、なぜか少し嬉しかった。
「行こうか」
北部第四ダンジョン。
そこにいるという、たった一人の“住民”を確かめるために。
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