#23 冷蔵庫
#23 冷蔵庫
冷蔵庫から人の身体が生えていた。
違う。
真白が冷蔵庫に頭を突っ込んでいた。
「人の家の冷蔵庫で何してんだ?」
と、思わずツッコむ以前の疑問が、口から出ていた。
「うぇ?……暑いから」
冷蔵庫の中から、こもった声が聞こえてくる。
「……そうか」
「うん」
……やめない。
当たり前のように冷蔵庫に頭を突っ込んだままだ。
何してんだ、コイツ。
「でも、なかの物が腐るから、冷蔵庫で涼もうとするのはやめてくれ」
「……うん」
ようやく、真白は冷蔵庫から顔を出した。
真顔だ。
こいつ、こんだけやっといて、真顔だ。
「……あのな、冷蔵庫をなんだと思ってるんだよ?」
「冷たい箱?」
「……まぁ、それはそうだけどさ」
未だに開けっ放しの冷蔵庫を、とりあえず閉める。
真白はそこでようやく、残念そうな顔をした。
なんでだよ。
「てか、あのな。頭だけ入っても、体は暑いままだろ?」
「じゃあ、体ごと入ればいい?」
「死ぬからやめろ」
……ふざけて言ってるのか、それとも本気で言ってるのかがわからない。
「え?冷蔵庫って、中に入ったらダメなの?」
「…だめだろ」
「…?じゃあ、なんでこんなに大きいの?」
少なくとも真白を入れるためではない。
「たくさん食材を入れるためだよ」
「……えー」
「とにかく、今度からは、冷蔵庫に頭入れるのやめろよ」
真白の髪に霜がついてるのに気づいて、それを取り除く。
「…ん」
抵抗するでもなく、真白は大人しく俺に髪を触らせる。
…こういうとこ、ほんと、警戒心がなさすぎるんだよな。
はたかれるとは思わないのか。
………。
めっちゃ髪の毛がひんやりしてる。
真白の見た目も相まって、ほんとに雪女みたいだ。
一体、何分くらい冷蔵庫に頭を突っ込んでたんだろうか。
……?
今日はやけに無表情だな…、なんでだ。
…………。
「……アイス食べるか?」
「うん、食べる!」
ぱぁ、っと、輝いて見える笑顔に、……ああ、やっぱ、真白って顔いいんだな…、と思う。
それに、どちらかといえば、俺は真白みたいな顔の人が好きだ。
だから真白は、それを理解してて、俺を振り回す節さえある。
「あんな…、最初っからそう言えよ」
「だって思いつかなかったもん」
「何を?」
「アイス」
……どうしてこの幼馴染は、俺がアイスを奢るのを当たり前だと思ってるんだろうか。
……餌付けしすぎたんだな、多分。
冷凍庫からアイスを取り出しながら、俺は心のなかでため息をついた。
……はぁ。
真白の笑ってるところを見て、それでようやく安心できた自分が。
なんというか、馬鹿らしくなってしまいそうだった。
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すみません、インフルで死んでました。
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