#22 昼飯
#22 昼飯
ゲームとはやり込みが全てだ。
才能も反射神経も何もかも。
他人に劣っていると感じる全ての事柄を、努力で破壊できる。
他では絶対に勝てないけれど、その領域でなら勝てる。
自信を持てること、そして努力したことこそが本質。
それが俺にとってのゲームの全てなのだ。
………がちゃがちゃがちゃ。
カカッ!!
カカカカ!!
「ゆうじうるさい、やめて」
…………。
「すまん」
……ランキング戦を止めて、ゲームの電源を落とす。
真白は、俺が言うことを聞かないと、たまに拗ねて、とんでもないことをやらかす。
不機嫌になったら、最悪、アカウントを消してくることだってあり得る。
ぐ。
国内ランキング二位のアカウントを消された記憶が……。
正直、真白って、俺に何をやっても許されると思ってる節があるんだよな……。
思い出すのはやめとこう。
「…………」
しばらくの間、真白が足をばたつかせる音と、ページをめくる音しか聞こえなくなる。
……暇だな。
料理作るか。
なんとなく、後ろで漫画を読んでいる真白に問いかけた。
「真白、昼飯作ってやろうか?」
「え、いいの?」
おお、好感触だ。
逆になんで?
まあ良いや。
「おう。何食べたい?」
真白は、腕を組んで、しばらく考え込むようにしてから、
「思いつかない」
と、真顔で言った。
………。
ほんとにこいつは……。
結構好き嫌いが激しいのに、指定しないのはどういう了見なんだよ。
…まぁ、いいや。
「俺が決めるけど、文句言うなよ?」
「うん」
「じゃあ、オムライスな」
「やった!じゃ、待ってるね」
と言って、すぐに漫画に戻っていく。
もう俺の方は向かない。
「僕も手伝うよ」とか無いんだよな、真白は。
真白らしいと言えばらしいけど。
ーーよし、出来た、と。
我ながら出来栄えのいいオムライスが完成した。
もちろん、半熟のオシャレなやつでは無いけど、艶もあるし、破れもない。
もともとオムライスはそう難しい料理じゃない。
焼いて、こうして、くるっ、て、それだけの料理だ。
とはいえ、うまくできたら多少の嬉しさはあったりするものだ。
「ほら、出来たぞ」
リビングで料理を待っていた真白の前に、オムライスを置いてやる。
真白の目が心なしか嬉しそうに輝いて、俺も少し嬉しくなってしまう。
俺の分も置いて、真白の向かいに座る。
二人で手をあわせて、
「「いただきます」」
真白は一口食べると、少しだけ目を見開いた。
「…おいしい」
「そりゃ良かった」
「悠仁、料理上手になったね」
まぁ、前に真白に料理を振る舞ったのは中学一年生の時だ。
その頃から比べると、料理のラインナップも腕前も、何もかもが桁違いだ。
俺は思わずドヤ顔になりながら、
「オムライスくらい誰でも作れるだろ」
と言った。
「じゃあ、僕も作れる?」
………。
真白の不器用さだとな……ちょっと厳しいかもしれない。
……という本音は、言わないでおく。
「まぁ、たぶんな」
「じゃあ、今度作る!」
ドヤ顔。
たぶん、俺が「オムライスくらい誰でも作れるだろ」って言った時よりも、あからさまなドヤ顔だ。
「…………」
圧倒的負けフラグ……。
たぶん、俺が真白の手料理を食べる日は来ないんだろうな。
呆れとか諦めとかそれ以前に、そんな気がした。
だけど。
食べ終わったあと、何も言わなくてもお皿を洗い始めた真白を見て、
もしかしたら、いつか食べられる日が来るかも知れない。
とか、そんなことを思った。
やると決めたらやるって言ってたしな。
信じていいかも知れない。
ぱりーん。
「ゆうじー、お皿割れちゃった!ごめーん!」
!??!!?!
▲
すみません。インフルエンザで更新できなかったので、改稿しつつ、最新話まで投稿します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます