第12話 シャハト到着

 朝一で3台の馬車で出発したヴィットマン一行。


冒険者の3人から向かっているのはガルドと呼ばれる集落だと教えてもらった。


道はボコボコに窪みが出来ていて非常に乗り心地が悪い。


御者も苦労して窪みを避けようとしているがあまりにも酷くて避けられない。


石畳もほとんど無くなっているので雨降りの後に通りかかったら泥濘に嵌って馬車を放棄するしか無い様な道である。


あまりにも乗り心地が酷いので領主に対して殺意が沸き上がってくる。

(けつが痛い)


歩くよりも遅いペースで馬車は進む。

歩きでも昼過ぎには到着出来るだろうと思っていたがこのペースでは夜になってしまう。


声をかけて車列を一旦止めた。

皆に話して御者の人には悪いが馬車を降りて歩こうと提案してみた。


馬車は街道を外れたところを進んで貰って嵌まり込んだら皆で押して脱出させて進む事にした。

空の馬車なら草原でも走れると思ったからだ。


フォーメーションは同じで騎乗の2人にゆっくりと先導してもらう。



馬車はゆっくり慎重に草原を進んでその周りを皆で付いて行く事にした。

足が不自由な子は俺が背負った。


けつが破壊される馬車より歩いた方が楽な街道って意味があるのだろうか?


実際に進み始めてみると街道を進むより楽であった。

馬も窪みに嵌るたびに後ろに引っ張られる街道よりも楽そうだった。

結果オーライで進んで行く、皆には疲れたら素直に言う様に伝えてある。


休み休み進んだが日が沈む前に無事にガルド集落に到着した。


門番が居たので声をかける、馬車3台で22人居るのだが入っても大丈夫か聞いてみた。


大丈夫だが集落に入るには一人銀貨1枚税がかかると言われた。

(うーん高い、貧乏冒険者では気軽に集落に入ることすら出来ないじゃん、ぼったくられているのだろうか?)


取りあえず揉めても仕方が無いので大銀貨を3枚渡して余分は袖の下として納めて貰った。


途端に機嫌が良くなって中の案内をしてくれた。


宿屋に行って馬車を止めて馬を預ける。

中に入って4人部屋を5つと、2人部屋を1つ一泊でお願いした。

馬車置き場と厩舎の使用料は部屋代に含まれているとの事。

当然馬の世話もしてくれるそうだ。


金貨と大銀貨を1枚づつ支払ってチップに銀貨2枚渡しておいた。


「服と食器が欲しいが買える場所があるか?」

と聞いたら


「雑貨屋があるので普通の食器と中古服なら買える」

と教えて貰った。


部屋を確認してからもう一度集合して貰った、今着ている服は余りにも酷いので皆で雑貨屋に服を買いに出かけた。

(無理やり脱がされたのかあちこち破れているし、下着もダメになったのか誰も付けていなかった)


サイズがさえ合えばもう何でも良いので皆に一式選んで貰った。

残念ながら下着は褌しか置いていなかったのだが無いよりは良いので新品を皆に一本づつ買った。


宿に戻りそれぞれ着替えて貰ってから宿で食事をした。


ポルトの町でも良く食ったがここもあまり旨くないショートパスタがメインだった。


宿の人に湯浴みは出来ないと言われたので部屋に戻ってから一人ずつバブルウォッシュで髪まで洗ってドライヤーで乾燥させたら凄く喜んでいた。


折角なので軽く体も診察させてもらった。


全員陰部に裂傷があったので治療しておいた。

何かハアハアしている様な気がするが気のせいだろう。


後は明日の朝出発するまで自由に過ごして貰った。


久しぶりの清潔なベットなのでみんな良く眠れる事だろう。



で、俺の部屋には例の女の子を連れ込んだ。

まずは排泄のコントロールが旨く出来ない様なので

肛門と性器を中心に診察して細かく治癒をかけて正常な状態に治した。

これで最低限の尊厳が守れる様になったはずだ。


貴重な魔力回復用のポーションを飲んで集中力も高めて気合を入れる。


次は左目だ、既に眼球は無いので右目と同じぐらいの大きさの眼球を盗賊の首から探して抜き出した。

大きさだけを考慮したので瞳の色が違ってしまうが見えないよりは良いだろう。


きつめに浄化をかけてから眼窩に押し込んで残っている神経と筋肉を慎重に繋いで行った。


まだ目を開けない様に指示して、顔の再建を始める。


頭蓋骨と鼻骨の骨折して窪んでしまっている場所をモデリングで再形成して融合させて一つに戻す。


皮膚が厚くなっている部分と併せて治癒を施して正常に戻した。


頭皮の欠損している部分は似たような髪色の皮膚を盗賊から剥ぎ取ってきつめに浄化をかけてから融合させて残っている部分と繋げた後に治癒を施した。


全く思い付きでやってみたのだが中々上手く行ったようだ。

結構美少女に仕上がった。


眼を開けさせたら視野のブレも無く上手く見えるらしい。


黒目と碧眼のオットアイになってしまったが治療前よりはずっと良い。


今日は時間も遅いし魔力も尽きてきたので治療を終了した。


残りは喉、四肢の骨折跡の再形成、全身の傷跡をどうやって消すかだ。

(まだ先は長そうだが何とかしてみせる)


寝ようと思ってベットに入ったら一緒に潜り込んで来たので頭を撫でてやったら安心して眠ってしまった。

(いや、こんな子供と致したりしないから!)




チュンチュン


次の日の朝も天気が良かった、食事を取ってから皆で出発準備を始める。


今まで着ていた服はどうするか聞かれたのでとりあえず1か所に集めて貰って浄化をかけてからアイテムボックスに入れておいた。

(何かの役に立つかもしれないし)


昨日と同じ乗車割で出発する、先に騎乗の2人に道路の様子を見に行って貰ったが昨日よりは少しマシかもしれないとの事だった。


次の集落までは約30キロ普通に歩いても夕方になる前に到着するはずだ。

ちなみに次の集落はゾーイと言うらしい。


数十メートル進んだ所で昨日と同様に馬車から降りて歩くことにした。


草原の中を皆で進む、治療中の女の子は足の治療をまだしていないので俺が背負った。


休み休み進んで何とか日が沈む前にゾーイ集落に到着した。

ここでも集落に入るのに一人銀貨1枚要求された。


結局の所、領主が何もしてくれないので集落を維持するために自警団を作ったり外壁を修理したりするために集落で勝手に税を取っているらしかった。


素直に大銀貨と銀貨を2枚づつ渡して集落に入れて貰った

(今日は袖の下は渡していない)


今日は場所の案内が無かったが少し探したら宿屋を見つける事が出来た。


馬車を停めて宿に入って昨日と同じ部屋割りでチェックインする。


システムも昨日と同様だ、チェーン店なのだろうか?


金貨と大銀貨1枚づつとチップに銀貨2枚を払ってそれぞれ部屋に移動する。


食堂が開店したら知らせると言われた、今日の宿は食事は部屋代に込みでは無いようだ。


知らせがあったら食堂に集合する事にして解散する。



今晩も例の女の子を部屋に連れ込んで治療する事にした。

食堂が開くまで足の治療をした。


骨折したのをそのまま良いポーションをぶっ掛けて適当に治した感じだ。

先ずは右足を探って中の状態を確認する。

筋肉や神経は問題ない様なので、変形している骨をモデリングで正しい形に成形して融合させて治癒をかける。

治癒をかけないと急に形が変わった周辺の筋肉や神経がおかしくなりそうなので念のためにかけている。

(正しい判断だと直感が言っている)

3か所程治療して動きを確認していたら店員が大声で叫んで食堂の開店を知らせてきた。

左足は食後に治療する事にして食堂に降りる。


皆集まって来たので最初に

「遠慮しないで好き勝手に腹いっぱいになるまで食ってくれ」

と、声をかけておいた。


とは言ってもメニューは2種類しか無かったのでワインも飲みたいなら飲んで良いと言ったらボトルを頼んで皆で飲んでいた。


例の女の子は隣で黙々と食べていた。

(早く手の治療もしてあげなければ)


ひとしきり食べたので皆を部屋に戻して支払いを済ませる。


単価が安いので大銀貨1枚でおつりが来たがおつりはチップで渡しておいた。


各部屋を回って何か希望が無いか聞いて回ったら。


全員にバブルウォッシュをお願いされたので洗ってあげた。


部屋に戻って女の子も服ごと洗ってあげた。


自分も軽く洗った。


魔力がかなり減ってしまったので食後の治療はやめて就寝する事にした。


今日も当たり前のようにベットに潜り込んで来たので一緒に寝ることにした。

頭をなでてあげたらスヤスヤと眠ってしまった。

娘でも出来た様な気分である。



チュンチュン


次の日の朝は曇っていた、雨が降らなければ良いのだが。


朝飯を食って支払いを済ませてから昨日と同じ乗車割で出発する。


モニカとセリナには先発して道路の偵察に行ってもらった。


「領都が近くなって来たのか今度は本当にかなりマシな道だよ」

と報告を受けた。

領都まで約30キロ今度は馬車で行けるだろうか?


馬車でゴトゴト出発すると石畳は無いが窪みが雑に埋めてあって何とか馬車で走れる道になった。

領都の近くでやっとこのレベルって・・


取り合えず1号車と2号車に毛布を2枚づつ渡して折りたたんで尻に敷いて貰った。


残りの一枚はこの馬車に敷いて三人に座って貰った。

俺はやせ我慢する事にした。


軽快に、とは言い難いが何とか日が落ちる前に領都のシャハトに到着した。


町に入れて貰おうと思い門に近づいたら騎士団の人間が門番をしていて最初に関税の話をされた。


商人では無い旨を説明したら今度は違法奴隷を連れ出そうとしているだろうと難癖を付けられた。


遠回しに袖の下を要求されたので面倒になってAランクの冒険者カードを見せたら入れて貰えた。


ついでなので途中で「黒の団」と言う盗賊団を討伐してきたのでどこに報告すれば良いか聞いてみた。

普通は騎士団があるなら騎士団の本部に報告に行く案件だが冒険者ギルドに行けと指示された。

領主は討伐報酬を払うのが嫌なのだろう。

(ちなみに黒の団と言う名前はマリアに教えて貰っていた)


取り合えず市内で一番良い宿を聞いて向かってみた。


少し寒くなって来たので湯浴みがしたかったのである。


行ってみたら本当にいい宿だった、貴族様も使う様な宿でかなり場違いな感じだが昨日までと同じ部屋割りで部屋を取った。


舐められそうだったので10日分を前払いした、金貨44枚と言う金額だったが涼しい顔で支払った。

チップもリッチに金貨1枚渡しておいた。

(盗賊からいただいたお宝なのでパッと使う事にした)


態度が変わって馬車は店の者が預かって全部やってくれた。


湯浴みが出来るか聞いたら大浴場があるので是非入浴して下さいと勧められた。


宿は食事代は込みだが飲み物は別に注文するシステムの様だ。


部屋は確保したので、服屋の場所を聞いてそのまま皆を連れて外出した。

仕立て済の新品を買いに行った。

遠慮しないでそれぞれ好きに選んでもらった。


下着も良い感じの物が揃っているので予備も含めて各自2組づつ購入してもらった。

今のところ予定は無いがひょっとしたら良いことがあるかもしれないので褌はダメだ!


皆はしゃいで選んでいるが、例の女の子はどうしたら良いのか分からないようでモジモジしていた。

俺も分からないので店員を呼んで下着を含めて見繕って貰った。


支払いは靴まで全員分買って総額金貨12枚で済んだ。


そのまま着替えて宿に戻った。


着て来た服は全てそのままアイテムボックスに入れた。

(いや、別に悪用とかしないから)


服が変わっただけで皆見違える様な美人になった。

女の子も顔は可愛くなっているので服に負けていない。

美人をゾロゾロ引き連れて宿に戻った。

きっと周りからはハーレム野郎に見えているのだろう。


それぞれ部屋に入って貰って折角なので入浴してもらう事にした。

混浴では無いので女の子はマリアに面倒を見て貰う事にした。


俺も当然入りに行った、こちらに来て初めての風呂である。

「ぬああああああああああ」

自然に声が出る、家を買うなら絶対に風呂を付けてやろうと誓った瞬間であった。


風呂から上がったら皆血色が良くなって美人度が更にアップしていた。


レストラン風の食堂で食事した、各自ワインやら果実水やらを注文して食事をしている。


今日は俺のテーブルにマリアが自然に混ざっていた。

マリアも囚われてからこの子の事は気にしていたのだそうだ。

(自分も辛かっただろうに優しい子だ)


いつの間にか顔が出来て目が開いていて内心驚いていたのだそうだ。

今日お風呂で仲良くなれた事を喜んでいた。


「早くお話出来るようになると良いですね」

と女の子に微笑みかけていた。

(ウーム、全く悪気無くプレッシャーをかけられてしまった、絶対何とかしてやる!)


食堂は貸し切り状態だったので良い機会なので各自自己紹介してもらった。


最初は俺で名前を言って王都に修行に行こうと思っているAランク冒険者だと自己紹介した。


2番目はマリアでワイバーンの皮を仕入れる為にガルドからポルトに移動中に襲われたとの事、同行していた店の番頭は殺害されてしまったみたいだ。


次はモニカでポルトで仕入れた素材を王都に運ぶ途中で襲われたとの事。


セリナとエリス以外にも3人居たのだが皆を逃がすために奮戦したが戦死した事。

雇い主を守りながら林に逃げ込んだ所で捕まったそうだ。

雇い主はその後見ていないので殺害された様だと依頼の失敗を恥じていた。


次はセリナで斥候職でこう見えても20歳だよとおどけていた

(辛い目にあっただろうに)


次はエリスで水魔法を使うC級冒険者だと自己紹介していた。

感情が乏しい様に思えたが別にひどい目に会ったからでは無く、元々こんな感じだったそうだ。

ちなみにモニカもセリナもC級で同じ歳で同期らしい。


次は1号車のモーラだ商人見習の19歳でポルトに移動中に襲われたとの事だ。

一号車と馬は自分が乗って来たものだと言っていた。


次は2号車のニーナだやはり商人見習で番頭とポルトに向かう途中で襲撃されて、番頭は目の前で殺害されてしまったとの事だ。

ちなみに16歳で一緒に来た番頭はネチネチと嫌らしい奴だったので死んで清々したと言っていた。


次は3号車の御者1のサラだ18歳とまだ若いのだが既に一応商人でポルトに向かう途中に襲われたとの事だ。

他の2台より少し小さめの3号車は自分が乗ってきたものだと言っていた。


次は3号車の御者2のライラだ24歳で行き遅れたのでポルトに働きに行こうと思って商人の馬車に便乗させて貰っているところを襲われたそうだ。

馬の飼育農家の娘で馬の世話をするのを条件に乗せて貰っていたそうだ。


次は1号車通信担当のナーニャだ猫人族の14歳でポルトで冒険者になろうと思ってプールと一緒に歩いている所を捕まったのだそうだ。

ザイン辺境伯領を歩いて出発して到着する頃には成人して居るだろうとほとんど無計画で歩いて来たと言っていた。

(丈夫な種族と言えど無謀過ぎる)


で、次は相棒の2号車通信担当のプールだ犬人族の14歳でナーニャと一緒に歩いている所を捕まったそうだ。

2人とも孤児だったので1000キロぐらいは歩いて来たが特に問題は無かったと言っていた。

(強すぎる)


次はメシウマコンビ1のシェレンだ農家の二女で23歳

ポルトで働こうと思ってポルトに向かう通りかかりの商人に乗せて貰って移動中に襲われたそうだ。

サーシャと一緒に乗り合わせていたので一緒にポルトで店を出そうと夢を語っていた様だ。


メシウマコンビ2のサーシャは15歳で成人したのでとにかくポルトに行こうと貯めていた小遣いを商人に渡して乗せて貰っていたそうだ。

「お金って帰ってこないよね?」

と、とぼけた事を言っていた。

(死んでるから無理だろ)


他は皆んなポルトに働きに行く所を移動中に捕まったらしい。


皆んな農家の娘で成人したので家を出て町で就職するつもりだった様だ。


アリアは15歳、ミリアは18歳、アイナは21歳、ナディは18歳、カレンとリリーは15歳で幼馴染だ。


それからエルフの大きい方はエルファで歳は言わなかったが200歳は超えていそうな感じである。

ジャミール王国からカミシロ王国に逃げている所を親子共々盗賊に捕まって連れてこられた様だ。


ジャミール王国は近年急激に拡大している軍事大国だ。

占領地から税の取り立てや徴兵が厳しくて難民が激増している。

盗賊も多数輩出中で中央山脈を越えて帝国に流入してきている。

黒の団もジャミールは民が貧しく稼ぎが悪くなってきたので村々を襲撃しながら山脈を超えて帝国に入って来た様だ。


その途中で襲った村から連れて来たのが例の女の子で玩具がわりに連れてこられた様だ。

最初に見た時からこの状態だったと言っていた。


最後はエルフの小さい方がエルルで歳は言わなかった。

ヒューマンだと7歳ぐらいの幼女に見える。

幼女っぽく明るく可愛く自己紹介していたが何歳ぐらいなのだろう?

確実に俺より歳上だと思う。


最後の女の子は喋れる様になったら改めて紹介すると言う事にした。


助け出されてから急激に状態が良くなっているのは皆んな分かっていた様で


「楽しみにしているから治療頑張って」

と、皆んな励ましていた。

(俺にプレッシャーをかけているのか?)


一応自己紹介は一通り終わったので


各人にこれからどうしたいのか聞いてみた。


帰る所がある人は路銀を渡すので帰っても良いと伝えた。


皆んな悩んでいる様なので

「結論は急がないのでゆっくり考えていいよ」

と言っておいた。


冬場に移動するのは危険なので俺も何か考えておく事にしてお開きにした。


部屋に戻って左足の治療を頑張った。

これで明日から歩くのは不自由しないだろう。


本当は領都の娼館に行きたかったのだが

隣で寝る気満々の少女を一人で置いて出かける訳にも行かないので我慢した。



さてこれからどうしたものだろうか?

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