概要
先生の死に顔は、思い出すたびにきれいになる――だから、僕は記憶を疑った
百五十年前。翻訳見習いのトーマは、三年前に亡くなった恩師の記憶が、思い出すほど美しく変わっていくことに怯えていた。本当の先生を取り戻すため、記憶を司る双子神カナエカナタが棲む山の社を訪れる。願いによって鮮明になった記憶には、春と冬、視線と言葉の食い違いがあった。恩師から預かった錬金術の絵巻の一節を胸に、神の問いへ答えていくトーマ。やがて美しい別れの記憶から、自ら消した過去と、忘れたはずの罪が姿を現す。
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