第2話ー離婚弁護士の殺害


夕焼けが差し込む部屋で、男は窓に背を向け、椅子に腰掛け本を読んでいた。窓から入る風が心地よい。


男は推理小説を夢中で読む。小説の世界に引き込まれた彼は静かにページをめくる。


めくり続ける。風の音とページをめくる音がかすかに響く部屋で、小説にのめり込む。よほど、おもしろいのだろう。男は背後から近づく何者かに気づいていない。


次のページをめくったとき、喉からナイフが飛び出した。


男は即死。本の続きに夢中になるあまり、窓から侵入した犯人に気付かず、首を後ろから一刺されたのだ。


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警察官である俺がこの現場に駆けつけたとき、すでに警部が到着しており、現場検証が行われていた。平和で退屈な日常も一旦はおさらばだ。遺体の男は離婚弁護士だそうだ。離婚弁護士とは、夫婦の離婚問題につけこみ、妻側に入れ知恵をして、夫側から慰謝料をふんだくる職業だ。


市民を取り締まる警官よりも恨まれる仕事だな。


遺体が座っていた椅子には血が飛びつり、一冊の本がそばに置かれていた。当然本にも血が付着している。


鑑識は遺体の近くの開かれた本を見て、読書中に背後から刺されたと推測し、俺は事件の映像を頭の中で浮かべることができた。


警部が本部の方と話しており、犯人は離婚調停中の夫だということが分かった。今晩にでも逮捕できるだろう。


ん?


この本、、、竹内書店の本だ。


血で気づかなかったが、見覚えのあるブックカバーが目に入る。


それにしてもベランダから侵入した犯人に気付かないほど夢中になるなんて、どんな内容なのか気になる。


手袋をつけて本を手にし、一番血が飛び散っているページを見た。見開きいっぱいに血が飛び散っているのを見て、このページを読んでいるときに刺されたことが分かる。


血のせいで、ところどころ読みにくいところがあるが、かすかに読める。


夕焼けが差し込む部屋で、離婚弁護士は窓に背を向け、椅子に腰掛け本を読んでいた。そこに何者かがベランダから侵入し、離婚弁護士は背後から首の後ろをナイフで刺され、即死した。


実際に起きたことを綴った本ではない。本の内容が今、俺の目の前で起きている。


「なんで、本が先なんだ、」


老婆の微笑みが頭によぎり、俺はその場から動けなかった。

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万引き警官 @aoi-takumi

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