概要
数字は嘘をつかない。嘘をついたのは――私を裁いたこの男だ。
横領の濡れ衣で婚約を破棄され、貴族社会から消えた元伯爵令嬢エステル。彼女は実家を頼らず、母から受け継いだ記帳の腕ひとつで商人街の会計を請け負い、一年かけて自分の生活を立て直していた。ある日、彼女を断罪した「改竄された監査報告書」を書いた張本人――王室監査官リオネルが、位も職も捨てて弟子入りを願い出る。「赦してくれとは言わない。あの数字を作った私だからこそ、あの数字を崩せる」。憎むべき相手を帳簿係として炉端に置いた日から、偽りの帳簿を一枚ずつ暴き、家と名誉と――どちらが先に堕ちるか分からない恋を立て直す、贖罪の一年が始まる。
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