第30.5話 目隠し鬼
僕の隣で眠る涼太の寝顔を見つめ、額を優しく撫でた。
普段よりもあどけなくて、安心しきった表情だ。寝返りを打つと、ベッドがギシ、と軋む音がした。
まだ時間は、残されているだろうか。
『ねえ、あと何回嘘をつくの?』
暗闇の中で、黄金色の瞳が怪しく光った。
部屋の隅に座り込む少年は、小さく呟いた。
『嘘をついて愛されて、それで幸せ?』
「うるさい」
冷淡な声で吐き捨てたが、それでも過去の残滓は無表情で僕を見据えていた。
あの日の出来事を全部思い出しても、涼太はそばにいることを許してくれるだろうか。
なんでもするから許してくれと、惨めに泣き縋ればほだされてくれるだろうか。
ようやく手に入れたこの幸せな時間を、壊したくない。
「お願いだから、ずっと思い出さないでいて」
なにも見ず、なにも聞かず、なにも知らないでいて。
そして一生、僕のそばから離れないで。
目隠しは外さなくていい。
僕が誰かも知らぬまま、手の鳴る方へ引き寄せられたんだ。
もう、捕まえた。
この手は決して離さない。
涼太を起こさないよう、繋いだ手に僅かに力を込め、頬に口付けを落とした。
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