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概要
婚約破棄状を懐に扉を開けたら、同じ顔が二つ、こちらを見ていました。
三年間、月に一度。わたしは婚約者の公爵閣下と、四半刻だけ向かい合ってきました。
話は続きません。贈り物はありません。お手紙は三行です。
だからわたしは、そのすべてを手帳に書き留めてきました。日付、場所、時間、話題、所見。婚約破棄の理由書に添えるための、〈面会記録〉三十四項。
――愛されていない、という証拠です。
北の雪を越えて、破棄状を届けに参りました。扉が開きます。
同じ顔が、二つ、こちらを見ていました。
「ミリアム。よく来てくれた」
「ミリアム。……よく、来てくれた」
同じ声。同じ背丈。左肩に同じ矢の古傷。王立鑑定院の鑑定官は、水盤を三度覗いてから、こう申しました。
「二人とも、ヴァルベルクの当主にございます」
――日が昇れば、公爵閣下はお一人です。日
話は続きません。贈り物はありません。お手紙は三行です。
だからわたしは、そのすべてを手帳に書き留めてきました。日付、場所、時間、話題、所見。婚約破棄の理由書に添えるための、〈面会記録〉三十四項。
――愛されていない、という証拠です。
北の雪を越えて、破棄状を届けに参りました。扉が開きます。
同じ顔が、二つ、こちらを見ていました。
「ミリアム。よく来てくれた」
「ミリアム。……よく、来てくれた」
同じ声。同じ背丈。左肩に同じ矢の古傷。王立鑑定院の鑑定官は、水盤を三度覗いてから、こう申しました。
「二人とも、ヴァルベルクの当主にございます」
――日が昇れば、公爵閣下はお一人です。日
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