『SIDE B:赤いギター』

今日は美咲が倉橋(プロデューサー)に「歌詞の書き方」を教えている。


「私からしたら、曲作れるほうがすごいです」

「いやいや、詩を作れるほうがすごいですよ」


いやいやいやいや…

いやいやいやいや…


なんだか謙遜し合っているどこかの商人のようだ。


「あの…ところで美咲さん。」


「はい。なんでしょう」


「ギター…あの赤のkillerの…なんであれにしたの?」


「……!?」


美咲は口を開けたまま固まっている


(あれ、変なこと聞いたか?)

(ふむー、どうしようか)


(じ、実は理由なんて無くって…)

(赤いから決めたんだよね…)


(…でも正直に言ってみよう)


「実は…ただ赤くてかっこいいなぁって」


−−−−−


「いいよね、それ」


「え?」


「感性、直感は大事だよ。

自分が良い!って思ったものが一番良いんじゃないかな」


「…え。なんか嬉しいです。理由もなく買ったのに」


「波長が合ったのかもね。現にいま、すごく似合ってるし」


「はい、大好きです。このギター」


「…日本が誇るロックバンド、LOUDNESS。

ギタリスト、高崎晃が使っていたのがまさにkiller…」


「…はい」


「…crazy doctorのギターソロ、カッコ良すぎ。

淡々と弾きこなすあの姿はもう感動の嵐。

あまりにもカッコ良いから、ベースで弾きたくなって、ついに弾けるようになったんだよ」


「は、はぁ…」


−−−−−


美咲は倉橋が熱く語るのを聞きながら、前にも同じような感覚を抱いたことがあったのを思い出した。


あぁ、


…まりみだ。


まりみとaccessの話をしていた時だ。


−−−−−


美咲

「いやぁaccessよく聴いてたぁ。

そう言えば浅倉大介さんのKX5、鍵盤金色だったよね」


まりみ

「キラーン(眼光る)ホントはボディ、黒かシルバーしかないんだけどね、特注でカスタマイズされたやつなんだよ。小室さんは鏡面仕様のも使ってたし、浅倉さんのは白鍵が銀、黒鍵が金ね。それから…」


−−−−−


前に涼歌がぼそっと言ってたよね…


"似たもの同士"


「くすっ」


「…おや?なにか変なことを言ってしまったかな?」


「……いえ。なんでもないです^_^」


「そう?」


「はい」


−−−−−


……ふふっ


倉橋はまだ、LOUDNESSの話を楽しそうに続けている。


でも…嫌いじゃないですよ。

だって、こんなに楽しそうに目を輝かせて話してるから。

まりみもそうだけど、真琴(倉橋)さんも。


だから、もう少し聞いてようかな。

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