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0013

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 こんな時間になっても、電車は人でごった返している。

 ウンザリする残業を終えてきたというのに、席の一つにも座れやしない。

 今日だけ特別に混んでいるというわけでもなく、毎日この調子だ。

 こんなことの繰り返しがずっと続いていくのかと思うと、憂鬱になる。


 駅の改札を出て、歩くこと10分。

 単身用賃貸の一室、扉の前まで辿り着く。

 鍵を取り出して開錠し、帰宅する。

 

「……あ、……おかえり」


 居間に足を踏み入れると、声を掛けられる。


 声の主は、人間で。女性で。ペット。


「……ただいま」


 独り暮らしに、ペットが1人。

 それが今の世帯状況だった。


「祐介……?」

 スーツを脱いでハンガーに掛けていると、ペット、ノラ子が俺の名前を呼ぶ。

「何?」

「……ごはん、食べた?」

「ああ。帰りに、適当に」

「そっか」

 それだけ聞くと、ノラ子は手元の端末で再生途中だった動画の視聴に戻った。

 ……何だったんだろう。


 気になったので、聞いてみることにする。

「ノラ子は」

「……ん、……どうした、の?」

 俺から話を振ると、動画から俺に向き直り、ノラ子は返事をする。


「……ノラ子は、ご飯食べのか?」

「うん、ちゃんと食べたよ」

「そうか」

 先ほど話しかけてきたのは、食べ物の催促ではなかったらしい。


「食べ切れなかった、とか?」

「ううん、残さず食べたよ。……えらい?」

「うん、偉い」

「えへへ」

 頭を撫でると、くすぐったそうに笑う。


「じゃあ、どうして」

「……?」

「俺に、何か食べたかって聞いたんだ」

「……だって、……祐介、死んだら困る」

「……そうか」


 ノラ子を拾った日、俺は死のうと思っていた。


 別に、何かあったわけではない。

 むしろ、何も無かった。

 生きる意味が何も見出せないでいた。

 ただ仕事をこなし、家に帰るだけの日々。

 目標もなく、熱中できる趣味もなく、ただ生命活動を続けているだけ。

 そんな、ありふれた、ありがちな絶望に苛まれていた。


 終電間際のホームで、ふと思った。

 苦しんで生きるくらいなら、死んでしまった方がマシなんじゃないかって。


 気まぐれのように思い立って、電車が到着する線路へと足を踏み出した。


「……だめ」

 ふらふらと歩み出した俺を、呼び止める声がした。

「……何ですか、あなた」

 見ず知らずの女性に引き止められ、不満げに尋ねる。

「……死のうと、思ってる?」

「……かもしれませんね。……だったら、どうだって言うんです」

「……ずる」

「……え?」

「……わたしが、先だったのに、……順番無視して、行こうとしてた」

 この女性も、俺と同じように、……死のうとして?

「……責任、とって」

「……どうすれば?」

「……わたし、行くところ、どこにもない。だから、……飼って? わたしを、家に置いて…?」


 その日、俺は本当に疲れていたんだと思う。

 言われた通りに、俺はノラ子を連れ帰って、飼うことにしてしまった。


 ノラ子、というのはもちろん本名ではない。

 名前も、年齢も、どこから来て、何をしていて、なぜ死のうと思っていたのか、何も知らない。

 教えてくれなかったし、無理に聞こうとも思わなかった。

 ただ、名前がないままでは不便だったので、何て呼べばいいか尋ねた。


「……祐介が、付けて?」

 名付け親になるとは思っていなかった。

 こういったセンスはまるで無い。

「ノラ子」

 野良で拾った子だから、ノラ子。

 我ながら、ひどいものだ。

 流石に拒絶して、もう少しまともな名前を自分で付けてくれると、期待していた。

「……ノラ子。……わかった、わたしは、ノラ子」

 すんなり受け入れられてしまい、ノラ子は、ノラ子になった。


 ノラ子は、何も持っていなかった。

 携帯も、財布もない。

 簡素なタンクトップにショートパンツ、それからサンダル。

 身に着けていたのは、それくらいだった。


 背は普通ではあるものの、体はとても細かった。

 痩せすぎている、と言って差し支えない。

 髪は長く、色素は薄い。

 染めているのか、脱色しているのか、それとも生来のものか、よくわからない。

 肌は病的なほどに白い。

 年齢はわからないけれど、俺よりは若いように思う。


 家に来てほどなく、携帯端末を契約して、ノラ子に渡した。

 連絡用、兼暇つぶし用に。

 今のところ、連絡の用途で使用されたことはない。

 

 ネットでノラ子用の下着も購入した。

 好きなものを選んでいいと伝えたけれど、特に希望は出されることはなかったので、仕方なく目に付いたシンプルなものをカートに入れた。

 服も選ぶようには言ったけれど、首を傾げるだけで欲しがる気配が無かった。


 それで、ノラ子は元々着ていたショートパンツの上に、俺のお下がりのアンダーシャツを纏っている。

 家にある服を適当に見せたら、ノラ子はこれを選んだ。

 

 アンダーシャツは、ワイシャツの下に着ていたもので、生地は薄い。

 ゆえに、ノラ子の体のラインがくっきりと出る。

 胸の先端も、シャツの上から浮いて見える。


 …………。


 俺は、端末に目を落とすノラ子の背後に忍び寄り、起伏の少ない胸に手を伸ばす。

「……っ」

 ノラ子は、少し驚いたように息を飲む。

 しかし、抵抗は見せなかった。

 過小ではあるものの確かにある、女性らしい柔肉を揉みしだく。

「……ん、っ」

 思わず漏れた、といった様子で喉を鳴らす。

 ノラ子の反応には構わず、胸の突起を弄ぶ。

「………ふぅ、…………ふぅ♡」

 吐息に甘い音色が混じる。

 すでに、俺の下腹部は興奮で屹立していた。

 硬くなったそれを、ノラ子の体に擦りつける。

「……はぁ、はぁ」

 気が済むまで陰茎を押し付けて、それから劣情のままに、アンダーシャツを強引に脱がせる。

 控えめだが、張りのある双丘が白日に晒される。

 ノラ子の手を引ったくると、無遠慮にベッドに押し倒した。

「…………」

 ノラ子と目が合う。

 怯えた様子はないけれど、何を考えているのか、全く読み取れない。


 ノラ子を連れて帰った日、俺は今日と同じように、ノラ子を犯した。

 若い女を家に連れ込んで、手を出さないほど人間が出来ていなかった。

 死んでしまおうと思うくらいには、とっくに壊れていた。

 逃げられてもいいと思った。

 通報されても構わなかった。

 けれど、ノラ子は慰み者にされた後も、部屋を出ることはなかった。

 だから、俺はノラ子を飼うことにしたのだ。


 押し倒したノラ子に覆い被さる。

 顔を近づけ、唇を合わせ、強引に舌を割り入れる。

「……っ、っ♡」

 口内を蹂躙する。

 淫らな水音が耳朶を震わせる。

 次第に、ノラ子からもチロチロと舌を絡ませてくる。

 口淫を続けながら、ノラ子の小さい手を取る。

 そして、俺の下腹部へと誘導して、握らせた。

 抗う様子もなく、上下にしごき始める。

 末端から、快楽的な刺激が脳へと伝っていく。

 達してしまわないように気を張りながら、ショートパンツの隙間に手を入れる。

「……あっ、 っ♡」

 下着の上から、割れ目に指を這わせると、じっとりとした湿り気を感じる。

「……んっ♡ ……ゃ、ぁ♡」

 布地を押し付けながら谷間を弄ると、痙攣したようにびくっと体を跳ねさせる。

 唇を離してキスをやめると、下着ごとショートパンツをずり下げる。


 そして。

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