第9話 神殺しの剣に食われたので、逆に食い返した


王都の地下から伸びた黒い鎖が。


俺の右腕へ絡みついていた。


鎖に触れている部分から。


力が抜けていく。


魔力。


生命力。


そして。


俺という存在そのものまで。


少しずつ地下へ吸い込まれていた。


《超神性武装による捕食を確認》


《生命・魂・存在上限が吸収されています》


《完全吸収まで――九分四十二秒》


数字が減っている。


このまま何もしなければ。


十分後には。


俺は完全に消えるらしい。


『見つけた』


王都の地下から。


少女の声が聞こえる。


『やっと、私を殺せる人を』


「俺に殺されたいのか?」


俺が尋ねると。


城壁の兵士たちがざわめいた。


「誰と話している?」


「まさか、魔王と?」


「魔族の罠ではないのか!」


違う。


声は。


俺にしか聞こえていないようだった。


『早く来て』


少女がささやく。


『もう、待つのは疲れた』


黒い鎖が。


さらに強く俺の腕を締めつける。


《存在上限の一部が損傷しました》


《レベル上限が19999から19872へ低下》


本当に。


俺の上限まで食べている。


今まで。


奪う側だった俺から。


初めて、力を奪っている存在。


少し興味が湧いた。


「ハルト!」


魔王ノクスが叫ぶ。


「その鎖を離せ!」


「離れない」


俺は手を開く。


鎖をつかんでいた指は離れた。


だが。


黒い鎖の方が俺の腕へ巻きつき。


皮膚の内側へ入り込もうとしている。


「アストラが、お前を所有者として選んだ」


魔王の表情は険しい。


「一度選ばれれば、逃げることはできない」


「お前も選ばれたのか?」


「違う。私は剣へ近づいただけだ」


ノクスは。


自身の左腕を見る。


今は元通りになっているが。


二百年前。


その腕と魔力の半分を。


聖剣アストラに奪われたらしい。


「触れてすらいない私から、あれほど奪った」


魔王が言う。


「完全に選ばれたお前が地下へたどり着けば、すべてを吸収されるぞ」


「それなら」


俺は鎖を握り直す。


「たどり着く前に、こちらから吸収する」


《万象喰らい》を発動しようとする。


周囲へ。


黒い領域が広がりかけた。


だが。


直後。


鎖が強く輝く。


俺の領域が。


完成する前に砕け散った。


《万象喰らいの発動に失敗しました》


《対象の捕食権限が自身を上回っています》


「捕食権限?」


初めて見る表示だった。


《対象――聖剣アストラ》


《神々が保有する最上位捕食権限の一部を確認》


《現時点の万象喰らいでは対抗できません》


神を殺す剣。


その正体は。


単に強い斬撃を放つ武器ではない。


触れた存在のすべてを食らい。


得た力を。


神を殺すための一撃へ変える。


そういう能力らしい。


「ハルトさん!」


エリナが透明な足場の上から叫ぶ。


「腕が!」


見ると。


鎖に巻かれた右腕が。


少しずつ透け始めていた。


存在を吸われている。


このままでは。


腕から順番に消えていくだろう。


リリアが俺へ手を向ける。


「治癒します!」


淡い光が。


俺の右腕を包む。


しかし。


透けた部分は戻らない。


「どうして……」


「傷ではない」


メタトロンが答えた。


『対象ノ存在情報ソノモノガ、剣ヘ移動シテイル』


「戻せないのですか?」


『通常ノ治癒術デハ不可能』


リリアが唇をかむ。


メタトロンは。


鎖を見つめ続けていた。


『聖剣アストラノ情報ヲ検索』


金色の瞳に。


細かな光が流れる。


『該当記録ハ、九十八・七パーセント欠損』


「残っている部分は?」


俺が尋ねる。


『製造者――女神エルシア』


魔王から聞いた名と同じ。


神々に反逆し。


存在を消されたという女神。


『製造目的――上位神性存在ノ完全消滅』


「神を殺すための剣で間違いないか」


『肯定』


「どうやって使う?」


『使用方法ニ関スル情報ハ欠損』


「役に立たないな」


『否定デキナイ』


メタトロンは。


少しだけうつむいた。


「責めていない」


『……了解』


神々から切り捨てられ。


自由になったばかりだ。


記録を消したのも。


メタトロンではない。


俺は再び地下へ視線を向ける。


声の主。


剣の中にいる少女。


あれが。


女神エルシアなのだろうか。


「お前はアストラか?」


俺は尋ねる。


『違う』


すぐに答えが返ってきた。


「では、エルシア?」


少し。


沈黙があった。


『その名前は、もう捨てた』


否定はしなかった。


やはり。


剣の中にいるのは。


神々に反逆した女神らしい。


「なぜ剣の中にいる?」


『捕まったから』


「誰に?」


『私が殺そうとした神たち』


声が。


少しだけ冷たくなる。


『私は失敗した』


「剣を作ったのに?」


『完成しなかった』


黒い鎖から。


さらに強い力が流れ込んでくる。


今度は。


俺の力ではない。


少女の記憶だった。



白い神殿。


雲の上に広がる。


巨大な都市。


金色の光に満ちた天界で。


一人の少女が立っていた。


銀色の長い髪。


青い瞳。


白い衣。


まだ幼く見える。


その周囲には。


無数の人間の魂が浮かんでいた。


兵士。


魔術師。


聖職者。


そして。


聖剣を手にした勇者たち。


誰もが。


苦しそうな表情をしている。


『やめてください!』


少女が叫んだ。


神殿の奥。


五つの巨大な玉座に。


光に包まれた存在が座っている。


顔は見えない。


だが。


第6話で俺へ命令した神と。


同じ気配がした。


『この者たちは、世界を守るために戦ったのです!』


玉座から。


声が返る。


『故ニ、価値ガアル』


『力を返してください!』


『勇者ノ魂ハ、我ラガ育テタ果実』


空に浮かぶ魂から。


光が吸い出されていく。


勇者たちが。


声にならない悲鳴を上げる。


『熟シタ果実ヲ収穫スルノハ、当然ノ行為』


『彼らは道具ではありません!』


少女。


女神エルシアは。


五柱の神へ向かって叫ぶ。


『人間も、魔族も、自分の意思を持つ命です!』


『下位管理者エルシア』


玉座の神が。


冷たく告げる。


『貴様ニハ、世界ノ運用方針ヘ意見スル権限ハナイ』


『それでも、間違っています!』


『間違イヲ決メルノハ我ラダ』


金色の光が。


エルシアを地面へ押さえつける。


『貴様ハ、地上ノ生命ニ感情移入シスギタ』


『私は……』


『管理者トシテ不適格』


五柱の神が。


同時に手を上げる。


『記憶ヲ初期化シ、再構築スル』


エルシアの体へ。


無数の金色の鎖が絡みつく。


少女は苦しみながら。


それでも。


神々をにらんでいた。


『嫌です』


『拒否権ハ存在シナイ』


『なら』


エルシアの手の中に。


一本の剣が現れる。


まだ。


刃は完成していない。


形も。


不安定に揺れている。


『あなたたちを倒します』


五柱の神が。


初めて沈黙した。


『神殺シノ武装ヲ確認』


『下位管理者エルシアノ権限ヲ剥奪』


『対象ヲ反逆個体ト認定』


戦いが始まった。


だが。


結果は一方的だった。


エルシアが作った剣は。


確かに神を傷つけた。


一柱の腕を切り落とし。


別の一柱の神核へ。


ひびを入れた。


それでも。


五人には勝てなかった。


最後には。


剣を握る両腕を失い。


翼を奪われ。


地面へ倒れた。


『処分セヨ』


『待テ』


一柱の神が止める。


『コノ武装ハ利用デキル』


『我ラヘ向ケラレタ剣ダゾ』


『故ニ、封印スル』


神々は。


折れかけた剣と。


エルシアの魂を一つにした。


『神殺シノ力ヲ、次代ノ勇者ヲ育テル器トスル』


『やめて……』


『剣ニ触レタ者ノ全テヲ吸収サセヨ』


『お願い……』


『十分ナ力ガ蓄積サレタ時』


エルシアの体が。


剣の中へ吸い込まれていく。


『我ラガ回収スル』


『誰か……』


最後まで残っていた。


青い瞳から。


涙が落ちた。


『私を、止めて』


記憶が途切れた。



俺は。


再び王都の上空にいた。


ほんの一瞬。


記憶を見せられていただけらしい。


エリナたちの位置も。


城壁の兵士たちの姿も変わっていない。


だが。


俺の右腕は。


肘の近くまで透けていた。


《完全吸収まで――七分五十八秒》


「見せたのか?」


俺が尋ねる。


『うん』


「俺を殺すために?」


『違う』


少女の声。


エルシアが答える。


『私を殺してもらうため』


「なぜ死にたい?」


『もう、止められないから』


聖剣アストラは。


触れた者の存在を食らい続ける。


神々によって。


そう作り替えられた。


エルシア自身にも。


止めることはできない。


『二百年間』


声が震える。


『たくさんの人が来た』


神殺しの剣を求めた者。


力を欲した王族。


魔王を倒そうとした勇者。


地下へ迷い込んだ兵士。


『みんな、私が食べた』


「お前の意思ではないだろう」


『でも、私の中にいる』


アストラに吸収された魂は。


消滅していない。


剣の中に閉じ込められ。


力として燃やされる瞬間を待っている。


『苦しいって』


少女が泣いている。


『ずっと聞こえる』


二百年間。


数えきれない声を。


聞き続けてきた。


『だから、お願い』


鎖が。


俺の腕を通り。


肩へ伸びてくる。


『私ごと、全部消して』


「断る」


『……どうして?』


「消す必要がない」


『私を残したら、また誰かを食べる』


「なら、その力を止めればいい」


『できないよ』


「試していない」


『何度も試した!』


初めて。


声が強くなった。


王都全体が。


大きく揺れる。


地面から飛び出した黒い鎖が。


城壁。


建物。


王城へ絡みつく。


「鎖が増えたぞ!」


「住民を避難させろ!」


兵士たちが叫ぶ。


エルシアの感情に。


剣が反応しているらしい。


『切ろうとした!』


無数の鎖が。


俺へ向かって伸びる。


『壊そうとした!』


俺の両脚。


左腕。


腰。


全身へ絡みつく。


『自分の魂を消そうともした!』


存在の吸収速度が。


一気に上昇する。


《完全吸収まで――三分》


「ハルトさん!」


リリアが。


こちらへ飛ぼうとする。


「来るな」


俺は止める。


「ですが!」


「触れれば、リリアも吸われる」


リリアの動きが止まる。


魔王が。


黒い魔力を集めていた。


「鎖ごと空間を切り離す」


「待て」


「このままでは、お前が消える」


「まだ三分ある」


「三分しかないのだ!」


ノクスに怒鳴られた。


魔王は。


本気で俺を心配しているらしい。


「切り離せば、エルシアも傷つく」


「お前が消えるよりはいい」


「同盟を結んだばかりだろう」


「だから助けようとしている!」


「俺も助けようとしている」


「誰をだ?」


「全員だ」


聖剣に吸われた魂。


剣の中に閉じ込められたエルシア。


そして。


俺自身。


誰か一人を犠牲にする必要はない。


全員助ける方法を。


今から探す。


「メタトロン」


『何ダ』


「アストラの捕食は、どんな法則で動いている?」


『解析ヲ開始』


メタトロンの瞳が。


高速で光る。


『対象ノ構造ハ複雑』


「簡単な部分だけでいい」


『聖剣アストラハ、対象ヲ三段階デ捕食スル』


「三段階?」


『第一段階――生命力ノ吸収』


『第二段階――魂魄ノ吸収』


『第三段階――存在上限ノ吸収』


今の俺は。


第一段階を終え。


第二段階へ入りかけているらしい。


「吸収したものは、どこへ行く?」


『剣ノ内部領域ヘ保存』


「燃料へ変わるのは?」


『使用者ガ神性存在ヘ攻撃シタ瞬間』


まだ。


これまで吸収された魂は。


燃料として使われていない。


剣の中に。


そのまま残っている。


「なら、取り戻せる」


『理論上ハ可能』


「方法は?」


『剣ノ内部領域ヘ侵入シ、捕食権限ヲ奪取スル必要ガアル』


「どうやって入る?」


『完全吸収サレレバ、自動的ニ移動スル』


「待て!」


魔王が。


メタトロンをにらむ。


「それではハルトの存在すべてが剣に奪われる!」


『肯定』


「ほかの方法は?」


『現在ノ解析範囲デハ存在シナイ』


魔王の顔が険しくなる。


「ハルト」


「何だ?」


「考えていることは分かる」


「そうか」


「許可しない」


「同盟相手に命令できるのか?」


「できなくても止める!」


魔王が。


俺へ手を伸ばす。


だが。


その前に。


俺は《天律支配》を使った。


「距離を増やす」


俺とノクスの間。


わずか数メートルの距離を。


数千キロへ引き伸ばす。


魔王の手は。


俺へ届かない。


「ハルト!」


声は聞こえる。


だが。


今のノクスが近づくには。


空間法則を破る必要がある。


数秒は稼げるだろう。


「エリナ」


俺は受付嬢を見る。


彼女の顔は。


今にも泣きそうだった。


「何ですか……?」


「冒険者証を預かってくれ」


俺は腰から。


Fランクの冒険者証を外す。


鎖に触れないよう。


軽く投げる。


エリナが。


両手で受け取った。


「どうして……」


「戻ったら返してくれ」


「戻れなかったら?」


「戻る」


「根拠はあるんですか?」


「ない」


エリナの目から。


涙が落ちた。


「なら、行かないでください」


「助けを求められた」


「ハルトさんまで犠牲になる必要はありません!」


「犠牲になるつもりはない」


「でも!」


「信じてくれ」


エリナが。


言葉を詰まらせる。


その隣で。


バルガスが俺を見る。


「絶対に帰ってこい」


「ああ」


「お前に勝ち逃げされたままじゃ、気に入らねえ」


「腕相撲のことか?」


「ほかに何がある!」


一度も。


勝負になっていなかった気がする。


だが。


戻る理由が。


また一つ増えた。


リリアは。


胸の前で手を組んでいる。


「お待ちしています」


「ああ」


「今度は」


彼女は。


まっすぐ俺を見た。


「一人で全部背負わないでください」


勇者パーティーにいたころ。


俺は。


誰にも言わず。


すべてを背負っていた。


仲間を守ることも。


敵を倒すことも。


苦しいことも。


「分かった」


今回は。


一人で行く。


だが。


帰る場所には。


待っている者がいる。


それだけで。


以前とは違った。


《完全吸収まで――三十秒》


右腕は。


完全に消えていた。


脚も。


胸も。


輪郭が薄くなっている。


痛みはない。


意識も。


まだはっきりしている。


『怖くないの?』


エルシアが尋ねる。


「少しは」


『死ぬかもしれない』


「死なない」


『どうして言い切れるの?』


「死んだら、お前を助けられない」


『……変な人』


「よく言われる」


《完全吸収まで――十秒》


魔王が。


引き伸ばした空間を破り始める。


「ハルト! やめろ!」


「すぐ戻る」


「待て!」


五秒。


俺は目を閉じる。


三秒。


二秒。


一秒。


《聖剣アストラによる完全捕食が完了しました》


その瞬間。


俺の体は。


王都の上空から消えた。



目を開ける。


そこは。


真っ暗な海だった。


上下も。


左右もない。


俺の体は。


黒い水の中に浮かんでいる。


右腕も。


胸も。


すべて戻っていた。


ただし。


ここは現実の世界ではない。


聖剣アストラの内部。


食らった存在を保存するための。


巨大な領域。


周囲には。


無数の光が浮かんでいた。


一つ一つが。


人の魂だ。


何千。


何万。


数えきれない。


その中心に。


一人の少女がいた。


銀色の髪。


青い瞳。


記憶で見た女神。


エルシア。


だが。


体の半分以上が。


黒い鎖に覆われている。


両腕。


両脚。


首。


胸。


無数の鎖によって。


海の底へ縛りつけられていた。


「来ちゃったんだ」


エルシアが。


悲しそうに笑う。


「来いと言っただろう」


「殺してほしいって言った」


「それは断った」


「もう遅いよ」


少女の背後で。


巨大な影が動く。


海そのものが。


一つの怪物へ変わっていく。


無数の口。


無数の牙。


食らった魂を使い。


何度も膨れ上がってきた。


聖剣アストラの捕食機構。


俺の目の前に。


青白い文字が浮かぶ。


《聖剣アストラの内部領域へ侵入しました》


《警告》


《肉体・魂・存在情報の所有権が対象へ移行しています》


《現在の所有者――聖剣アストラ》


俺の体から。


黒い鎖が伸び始める。


エルシアと同じように。


全身を縛ろうとしている。


「ここに入った時点で」


エルシアが言う。


「あなたは、もう剣の一部」


「そうらしいな」


「力も」


鎖が。


右腕を覆う。


「記憶も」


左脚。


「名前も」


胸。


「全部、アストラのものになる」


首へ。


鎖が近づく。


《自己所有権を喪失します》


《上限捕食の使用権限が封印されました》


《万象喰らいの使用権限が封印されました》


《天律支配の使用権限が封印されました》


能力が。


一つずつ使えなくなる。


エルシアは。


目を伏せた。


「ごめんなさい」


「なぜ謝る?」


「また、食べちゃった」


少女の頬を。


涙が流れる。


「助けてって言ったのに」


「……」


「助けに来た人まで、食べちゃった」


巨大な怪物が。


口を開く。


俺を。


完全に飲み込もうとしている。


「今度こそ終わりにする」


エルシアの鎖が。


強く光る。


「あなたの力を使えば」


無数の魂が。


一斉に震える。


「私ごと、この剣を壊せる」


「お前も死ぬ」


「それでいい」


「よくない」


「どうして!」


少女が叫んだ。


「私は、こんなにたくさんの人を食べた!」


「神々にやらされた」


「私の力で!」


「お前の意思ではない」


「同じだよ!」


黒い海が荒れる。


「私がいなければ、誰も苦しまなかった!」


「違う」


「何が違うの!」


「お前がいなければ」


俺は。


周囲の魂を見る。


「神々を止めようとする者もいなかった」


エルシアが。


動きを止める。


「お前は失敗した」


「……」


「だが、間違ってはいない」


人間を。


魔族を。


神々の道具から解放しようとした。


一人で。


五柱の神へ挑んだ。


魔王ノクスと同じ。


俺よりも。


ずっと前から戦っていた。


「だから」


俺は。


首へ巻きつこうとする鎖をつかむ。


「ここで終わらせる必要はない」


「無理だよ」


「まだ何もしていない」


「力は全部封じられた!」


確かに。


上限捕食も。


万象喰らいも。


天律支配も使えない。


俺の存在の所有権は。


聖剣アストラへ移り始めている。


だが。


一つだけ。


まだ残っているものがあった。


「俺自身の力は、封じられていない」


「え?」


俺は。


鎖を握ったまま。


腕へ力を込める。


ギギギギギ。


黒い鎖が。


軋み始める。


《警告》


《所有権拘束への抵抗を確認》


《対象は能力を使用していません》


《原因を解析できません》


俺の強さは。


能力だけではない。


レベル九百九十九まで。


十年間。


何度も戦い。


何度も鍛えた。


《荷物持ち》として。


誰よりも多くのものを背負ってきた。


その肉体。


その魂。


その意思まで。


能力を封じただけで。


消えるわけではない。


「壊れろ」


鎖を引く。


バキンッ!


右腕を覆っていた鎖が。


力だけで砕けた。


エルシアが。


目を見開く。


「嘘……」


「次だ」


左脚。


胸。


首。


全身へ巻きついた鎖を。


一本ずつ引きちぎる。


《自己所有権の再取得を確認》


《上限捕食が再起動しました》


《万象喰らいが再起動しました》


《天律支配が再起動しました》


力が戻る。


俺は。


巨大な捕食怪物を見る。


「俺を食べたつもりらしいな」


怪物の無数の口が。


同時に開く。


『捕食対象ノ抵抗ヲ確認』


アストラの意思ではない。


神々によって与えられた。


自動命令。


『抵抗ヲ排除』


怪物が。


俺へ襲いかかる。


「万象喰らい」


黒い領域を展開する。


だが。


先ほどと同じ。


完成する前に。


アストラの捕食力が押し潰そうとする。


《捕食権限の競合を確認》


《聖剣アストラが上位権限を保有しています》


俺の領域が。


縮んでいく。


やはり。


現在の万象喰らいでは。


正面から勝てない。


「なら」


俺は。


領域を自分の周囲へ広げるのをやめた。


一点。


エルシアを縛る鎖だけへ向ける。


「全部を食う必要はない」


《万象喰らいの対象を限定》


《対象――女神エルシアへの支配命令》


少女を縛っているのは。


聖剣そのものではない。


神々が。


あとから追加した命令だ。


アストラよりも。


はるかに小さい。


「お前を縛る命令だけを食う」


黒い領域が。


エルシアの周囲へ広がる。


鎖が抵抗する。


だが。


剣全体の捕食権限ほど強くない。


一本目の鎖が。


黒い粒子へ変わる。


《神性命令――強制捕食を捕食しました》


二本目。


《神性命令――所有者抹消を捕食しました》


三本目。


《神性命令――魂魄監禁を捕食しました》


次々と。


エルシアを縛っていた鎖が消えていく。


「やめて!」


少女が叫ぶ。


「それを壊したら、剣に蓄えられた魂が暴走する!」


「暴走させない」


「どうやって!」


「俺が代わりに管理する」


「そんなことをしたら、あなたが!」


「大丈夫だ」


最後の鎖を。


万象喰らいが飲み込む。


エルシアの体が。


黒い海から解放された。


同時に。


周囲に浮かぶ無数の魂が。


一斉に動き始める。


泣き声。


叫び声。


怒り。


恐怖。


二百年分の感情が。


俺へ流れ込んでくる。


《聖剣アストラの管理者権限が空白になりました》


《内部魂魄が制御を喪失》


《領域崩壊まで――六十秒》


「ハルト!」


エルシアが。


初めて俺の名前を呼んだ。


「全部の魂が消えちゃう!」


「消さない」


俺は両手を広げる。


「この領域の管理者を変更する」


《天律支配》。


世界の法則へ。


命令する力。


だが。


ここはアストラの内部。


俺の支配する世界ではない。


《天律支配の発動に失敗》


「なら」


《万象喰らい》を。


領域全体へ広げる。


先ほどまでは。


アストラの捕食権限に押し負けた。


だが。


今は違う。


強制捕食の命令は。


すでに俺が奪った。


エルシアへの支配も。


魂を閉じ込める命令もない。


残っているのは。


所有者を失った。


空の器だけ。


「聖剣アストラ」


俺は告げる。


「お前の上限をもらう」


黒い領域が。


海全体へ広がった。


巨大な捕食怪物が。


俺へ襲いかかる。


こちらを食おうと。


無数の口を開く。


俺も。


領域を広げる。


食う側と。


食われる側。


二つの力が。


正面から衝突した。


《捕食権限の競合を確認》


《上限捕食が対象の構造を解析》


《万象喰らいが神性武装へ侵食》


《対象の管理者権限が存在しません》


《権限順位を再計算》


怪物の牙が。


俺の目の前で止まる。


《新たな最上位管理者候補を確認》


《候補――黒鉄ハルト》


「管理者になるつもりはない」


俺は答える。


「剣を自由にする」


《命令内容を解析できません》


「誰かを食うための剣ではなく」


エルシアを見る。


「エルシアが、自分で使い方を決める剣にする」


少女の青い瞳が。


大きく開かれる。


《既存命令との矛盾を確認》


《神性命令がすべて消失しています》


《自由意思による再定義が可能》


「エルシア」


俺は手を伸ばす。


「この剣をどうしたい?」


「私が……?」


「ああ」


「決めていいの?」


「お前が作ったんだろう」


エルシアは。


差し出された手を見る。


二百年間。


神々の命令に縛られ。


触れた者を食らい続けた。


自分の力なのに。


自分では何も決められなかった。


少女は。


震える手を伸ばす。


俺の手を握った。


「もう」


声が震えていた。


「誰も食べたくない」


「ああ」


「閉じ込めた人たちを、助けたい」


「ああ」


「それから」


涙を流しながら。


それでも。


少女は笑った。


「もう一度、神々と戦いたい」


俺も。


その手を握り返す。


「なら、そうしよう」


《聖剣アストラの再定義を開始》


黒い海が。


金色の光へ変わる。


怪物の体が。


ゆっくりと崩れていく。


無数の口。


牙。


目。


神々によって作られた捕食機構が。


すべて消滅していく。


《強制捕食能力を削除》


《魂魄監禁能力を削除》


《所有者抹消能力を削除》


《女神エルシアの自由意思を復元》


周囲に浮かんでいた魂が。


一つずつ。


温かな光に包まれる。


苦しんでいた表情が。


穏やかになっていく。


《内部魂魄の解放を開始》


光が。


上へ昇っていく。


一つ。


また一つ。


二百年間閉じ込められていた魂が。


ようやく。


剣の外へ帰っていく。


「ありがとう」


誰かの声がした。


次に。


別の声。


「やっと眠れる」


「家族に会える」


「もう苦しくない」


無数の声が。


俺とエルシアの周りを通り過ぎる。


少女は。


泣きながら。


何度も頭を下げていた。


「ごめんなさい」


魂たちは。


彼女を責めなかった。


「君のせいじゃない」


一人の勇者が。


そう言って消えた。


「ずっと止めようとしてくれていた」


「ありがとう、女神様」


エルシアは。


声を上げて泣いた。


俺は。


何も言わず。


隣に立っていた。


やがて。


最後の魂が解放される。


金色の世界に。


俺とエルシアだけが残った。


《聖剣アストラの再定義が完了しました》


《新規形態――解放聖剣アストラ》


《固有能力――神性切断》


《固有能力――権能破壊》


《固有能力――魂魄解放》


《使用者の生命を必要としません》


「成功したな」


俺が言うと。


エルシアは。


涙を拭いた。


「うん」


「外へ戻れるか?」


「剣の封印がなくなったから」


少女の体が。


淡い光へ包まれる。


「私も外に出られる」


金色の世界が。


大きく揺れる。


出口が。


頭上に開き始めた。


「一緒に行くか?」


俺が尋ねる。


エルシアは。


少し迷ったあと。


うなずいた。


「行く」


「神々と戦うために?」


「それもあるけど」


少女は。


少し照れたように笑った。


「外の世界を見たい」


「二百年ぶりか」


「うん」


「かなり変わっているかもしれない」


「大丈夫」


エルシアは。


俺の手を握ったまま。


出口を見る。


「今度は、一人じゃないから」


俺たちは。


光の中へ進んだ。



王都の上空。


ハルトの姿が消えてから。


まだ。


一分も経過していなかった。


「ハルト!」


魔王ノクスは。


空中に残された黒い鎖をつかんでいた。


だが。


鎖の先には。


何もない。


黒鉄ハルトの存在そのものが。


世界から完全に消失していた。


「反応は?」


ノクスがメタトロンへ尋ねる。


『検出不能』


「魂は!」


『検出不能』


「生きているのか!」


『判定不能』


魔王の周囲から。


黒い魔力があふれ出す。


地上の兵士たちが。


怯えながら武器を構えた。


だが。


今のノクスに。


彼らを見る余裕はなかった。


「私が止めるべきだった」


『空間干渉ニヨリ、接近ヲ阻害サレタ』


「それでもだ!」


二百年前。


ノクスはアストラに触れ。


腕と魔力の半分を奪われた。


剣の内部が。


どれほど危険なのか。


誰よりも理解していた。


「同盟を結んだ直後に……」


魔王の拳が震える。


ザルガは。


何も言えずにうつむいている。


ゴブリンキングも。


普段の騒がしさを失っていた。


リリアは。


両手を組み。


目を閉じている。


「ハルトさんは戻ります」


自分へ言い聞かせるように。


何度もつぶやく。


「必ず戻ります」


エリナは。


ハルトから預かった冒険者証を。


胸へ抱いていた。


鉄製の。


Fランク冒険者証。


「返すって、約束しましたから」


バルガスが。


何もない空をにらむ。


「戻ってこなかったら」


戦斧を強く握る。


「俺が剣ごとぶっ壊す」


『不可能ダ』


メタトロンが告げる。


「うるせえ!」


『ダガ』


メタトロンは。


王都の地下へ視線を向けた。


『内部デ、変化ヲ確認』


「何?」


地下から。


金色の光があふれ出す。


黒い鎖が。


一本ずつ崩れていく。


城壁。


王城。


町の建物へ絡みついていた鎖が。


光の粒となり消えていく。


王都を揺らしていた振動も。


静かに止まった。


『超神性武装ノ構造ガ変化シテイル』


「ハルトか?」


『原因ハ不明』


次の瞬間。


王城の中央が。


金色の光に包まれた。


地面を突き破り。


一本の剣が空へ飛び出す。


黒かった刀身は。


透き通るような白銀へ変わっている。


剣の周囲には。


無数の光が浮かんでいた。


人の魂。


王都の上空へ昇り。


一つずつ。


天へ消えていく。


リリアが。


目を見開いた。


「魂が……解放されています」


聖剣アストラが。


空中で回転する。


そして。


エリナたちの前へ。


ゆっくりと降りてきた。


「ハルトさんは?」


エリナが尋ねる。


剣は答えない。


その代わり。


刀身が強く輝く。


光の中から。


二つの人影が現れた。


一人は。


黒鉄ハルト。


もう一人は。


銀色の髪を持つ少女。


二人が。


手をつないだまま。


空へ降り立つ。


「戻った」


ハルトが言った。


一瞬。


誰も動かなかった。


最初に反応したのは。


エリナだった。


透明な足場を走り。


ハルトの胸へ飛び込む。


「遅いです!」


「一分も経っていないはずだ」


「時間の問題ではありません!」


エリナは。


涙を流しながら。


ハルトの服を強くつかむ。


「本当に……戻ってきた……」


「ああ」


ハルトは。


少し困りながら。


彼女の頭へ手を置いた。


「冒険者証は?」


「今聞くことですか!」


エリナは怒鳴りながらも。


冒険者証を差し出した。


ハルトは。


それを受け取り。


腰へ戻す。


「ありがとう」


「もう、預かりませんからね!」


「次は気をつける」


「次を作らないでください!」


その後ろから。


魔王ノクスが歩いてくる。


「ハルト」


「ああ」


「一発殴っていいか?」


「なぜ?」


「心配させたからだ」


「俺が避けたら、王都が壊れる」


魔王の拳が止まった。


「……それは困る」


「なら、あとにしてくれ」


「あとならいいのか?」


「荒野で」


「本当に殴るぞ」


「受け止める」


二人の会話を聞き。


エリナが再び頭を抱えた。


リリアとバルガスも近づいてくる。


「無事でよかったです」


「ああ」


「本当に人を心配させる天才だな」


バルガスが言う。


「そんな能力は持っていない」


「能力なしでやってるから怖いんだよ」


メタトロンは。


ハルトの隣にいる少女を見る。


『神性存在ヲ確認』


金色の瞳が。


細かく動く。


『個体情報ヲ照合』


『該当――反逆神エルシア』


その言葉に。


魔王の表情が変わった。


「エルシア?」


銀髪の少女が。


ノクスを見る。


「あなたは?」


「第六代魔王ノクス」


「魔王……」


少女は。


少し驚いた顔をした。


「六代目なんだ」


「初代を知っているのか?」


「作ったから」


全員が。


静まり返る。


ノクスの顔から。


表情が消えた。


「今、何と言った?」


「最初の魔王を作ったのは私」


エルシアが答える。


「正確には、神々に命令されて」


魔王は。


しばらく動かなかった。


魔族は。


神々によって作られた。


その話は。


先ほどノクス自身がしていた。


だが。


目の前の少女が。


実際に魔王を作った存在らしい。


「なら」


ノクスの声が。


低くなる。


「我ら魔族を、神々の道具にしたのもお前か?」


エルシアは。


逃げなかった。


「うん」


「……」


「ごめんなさい」


少女は。


深く頭を下げる。


「命令されたからって、許されることではないと思う」


黒い魔力が。


ノクスの周囲へ集まる。


ザルガが。


緊張した顔で魔王を見る。


だが。


ノクスは。


攻撃しなかった。


「顔を上げろ」


「でも」


「お前も神々へ反逆したのだろう」


「……うん」


「なら、話はあとだ」


魔王は。


王都の上空を見る。


そこには。


神々の目はない。


だが。


五柱の神が。


こちらを観測している気配は残っている。


「今の敵は同じだ」


エルシアが。


ゆっくり顔を上げる。


ノクスは。


ハルトを見る。


「剣はどうなった?」


「食おうとされた」


「それは見れば分かる」


「だから、食い返した」


「……予想はしていた」


魔王は。


疲れたようにため息をつく。


「何を奪った?」


ハルトの目の前には。


青白い文字が浮かんでいた。


《超神性武装・聖剣アストラの制圧を確認》


《対象の能力上限を捕食します》


《神性武装上限を捕食》


《魂魄干渉上限を捕食》


《存在切断上限を捕食》


《捕食権限上限を捕食》


《神殺し適性を獲得》


《レベル上限が19999から49999へ上昇しました》


そして。


《聖剣アストラの最上位捕食権限を捕食》


《万象喰らいが進化します》


《進化後――“無限捕食”》


「無限捕食?」


《自身より上位の捕食権限を持つ対象へ対抗可能》


《撃破した対象の能力・権能・成長上限を完全捕食します》


《捕食した能力を任意に統合・進化できます》


これで。


神々が持つ捕食能力にも。


対抗できる。


勇者の魂を食らい。


力を蓄え続けた五柱の神。


彼らを倒せば。


蓄えた力ごと。


すべて奪える可能性がある。


さらに。


文字は続く。


《特殊条件を達成》


《神性武装を支配せず、自由意思を解放しました》


《称号――“解放者”を獲得》


《支配下にない存在との権能共有が可能になりました》


《女神エルシアとの契約を確認しますか?》


俺は。


隣にいる少女を見る。


「契約と出ている」


「私にも」


エルシアの前にも。


同じ表示が浮かんでいるらしい。


「内容は?」


《対等契約》


《互いの意思に反する命令は不可能》


《神性権能および聖剣能力の一部を共有可能》


「どうする?」


俺が尋ねると。


エルシアは。


少しだけ笑った。


「あなたなら」


手を差し出す。


「もう一度、信じてみたい」


俺は。


その手を握った。


《対等契約が成立しました》


《女神エルシアの権能――神性切断を共有》


《女神エルシアの権能――魂魄解放を共有》


《女神エルシアは、黒鉄ハルトの無限捕食の一部を使用可能》


「これで」


エルシアは。


空中に浮かぶ聖剣アストラへ手を伸ばす。


剣が。


光へ変わり。


少女の手の中へ収まった。


「今度こそ、神々と戦える」


その瞬間。


空が。


金色に染まった。


巨大な鐘の音が響く。


一度。


二度。


三度。


天界から。


神の声が降ってくる。


『反逆神エルシアノ復活ヲ確認』


エルシアの顔が。


険しくなる。


『超神性武装アストラノ封印解除ヲ確認』


五つの巨大な目が。


王都の上空に現れた。


予定では。


七日後に降臨するはずだった神々。


だが。


エルシアの復活と。


アストラの解放によって。


待つつもりをなくしたらしい。


『脅威度ヲ再計算』


『黒鉄ハルト』


『魔王ノクス』


『反逆神エルシア』


『三個体ノ同時存在ヲ、世界崩壊級事象ト認定』


五つの目が。


同時に光る。


『七日後ノ降臨予定ヲ撤回』


空に。


巨大な天界門が現れた。


王都全体よりも。


はるかに大きい。


『一時間後』


門の向こうから。


無数の翼を持つ軍勢が見える。


神の兵士。


天使。


処刑兵器。


数えきれないほどの神性生命体が。


地上を見下ろしていた。


『天界全軍ヲ投入スル』


一時間。


神々は。


五柱だけではない。


天界にいる。


すべての戦力を連れてくるつもりだ。


城壁の兵士たちが。


恐怖に震える。


王都の住民たちが。


空を見上げたまま動けない。


魔王ノクスが。


黒い翼を広げる。


「予想より早いな」


エルシアは。


聖剣アストラを握る。


「私が復活したから」


メタトロンが。


空の軍勢を解析する。


『推定敵性個体数――一百二十万』


バルガスの顔が。


引きつった。


「百二十万?」


『上位神性生命体――十二』


『最高位神性生命体――五』


『戦力差ノ算出ハ不可能』


エリナが。


俺の服をつかむ。


「ハルトさん」


「何だ?」


「さすがに、多すぎませんか?」


俺は。


空を埋め尽くす軍勢を見る。


天使。


神獣。


巨大な兵器。


そして。


その奥にいる五柱の神。


一体ずつ倒せば。


かなり時間がかかる。


だが。


ちょうど。


新しい力を得た。


「問題ない」


「何をするつもりですか?」


俺は。


手のひらを空へ向ける。


《無限捕食》。


倒した相手を。


力だけではなく。


権能も。


上限も。


すべて食らう力。


「まとめて来るなら」


黒い領域が。


俺の足元から広がり始める。


「まとめて強くなれる」


五柱の神の目が。


一斉に揺れた。


一時間後。


人間。


魔族。


反逆した女神。


そして。


世界のすべてを食らって成長するFランク冒険者。


四つの力と。


天界全軍による戦争が。


王都で始まろうとしていた。

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