概要
記憶が売れる時代。母が消したのは、私の罪か、それとも母の罪か。
二〇四〇年代。都市部では、自分の記憶を金に換える「記憶売却」が合法化されていた。
小さな記憶買取事務所に勤める中村瑞樹は、他人の悲しみや後悔に値段をつける査定士だ。売った本人が忘れた記憶を自分だけが覚え続ける仕事に、瑞樹は少しずつ心をすり減らしていた。
ある日、身寄りのない老女・春日井澄江が遺した、未処理の記憶を確認することになる。
記憶の中に現れたのは、若い頃の瑞樹の母だった。
母は春日井に一羽の木製の鳥を預け、瑞樹についてこう告げる。
「忘れたんじゃありません。忘れさせたんです」
瑞樹には、十一歳の頃の記憶がほとんどない。そして調査を進めるうち、存在すら忘れていた父親が、その年にマンションから転落死していたことを知る。
母は、瑞樹から何を消したのか。
それは息子を守るため
小さな記憶買取事務所に勤める中村瑞樹は、他人の悲しみや後悔に値段をつける査定士だ。売った本人が忘れた記憶を自分だけが覚え続ける仕事に、瑞樹は少しずつ心をすり減らしていた。
ある日、身寄りのない老女・春日井澄江が遺した、未処理の記憶を確認することになる。
記憶の中に現れたのは、若い頃の瑞樹の母だった。
母は春日井に一羽の木製の鳥を預け、瑞樹についてこう告げる。
「忘れたんじゃありません。忘れさせたんです」
瑞樹には、十一歳の頃の記憶がほとんどない。そして調査を進めるうち、存在すら忘れていた父親が、その年にマンションから転落死していたことを知る。
母は、瑞樹から何を消したのか。
それは息子を守るため