第47話『信頼』

シルキーが力尽きたあと、ゼンが目を覚ました。

目を覚ますと先ほどまでいた乾いた荒地がところどころ崩れ、穴だらけの地面が広がっていた。


(俺が気絶してる間にシルキーが……?)


「おはよゼン」


振り向くとレミューが微笑んでタバコを吸っている。


「シルキーは寝てるだけだよ?禍動切れしてるからしばらくは起きれないかな」


「何をしたんですか?」


「単なるガールズトークだ」


「ガールズトークでこんなになるわけないでしょ?」


レミューはタバコの煙でむせながら笑った。


「本当にゼンはマジメだねぇ……」


「なにかコツでも与えたんですか?」


「何でそう思う?」


「だって……」


ゼンはシルキーに目をやると、レミューも釣られてシルキーを見た。

子供のようにニヤニヤして笑って眠っている。


「ふっ……寝顔だけは子供だな、私は子供がいないからわからないが、親はきっとこんな心境なんだろうな」


「先生……」


「あぁ、こいつは強くなった。お前はどうする?」


「俺は……勝てなくてもいい、ただ負けない力が欲しい」


レミューは灰皿に灰を落としてボケっとした顔をした。


「お前の話はいつもわからん……」


「なんでわかんねぇんだよ?わかるだろ?つまり、強すぎる相手でも逃げたり相討ちにする力があればいい」


「なんか既にもう考えがありそうだね?」


「……」


「そしてそれを私には言いたいけど言えない。何故ならそれを私が聞けば悲しむから……」


「……そうです」


「じゃ、辞めときな。何となく何を考えてるかわかった。けど、それをしたらフィーナちゃんは?ヴェトン君は?シルキーは?どう思う?」


「それは……けど、フィーナを守り切る戦いをしてわかりました。他の連中は俺のことを知りもしないで強いとか、あれこれ言うけど、俺は弱い……」


「……」


「フィーナを何度も危険な目に遭わせました。俺がもっと強ければ……」


「ゼン、世の中を見てみろ?自分一人を守るだけなら大抵の奴は、禍動がなくても武器を持てば負けない」


「……」


「けどね、自分を守る奴らはそのことで頭がいっぱいなんだ。だから誰かを守って戦うのはとても難しい。そしてお前はフィーナちゃんだけじゃない。この旅を通じて出会ったヴェトンくん、旅に巻き込んだシルキー、3人の命をお前は背負ってる」


「……そうですね」


「あまり勘違いするなよゼン?」


レミューは2本目のタバコに火をつけた。


「お前だって守られてるんだよ、あの3人に。命を背負ってるのはお前だけじゃない。ヴェトン君も、シルキーも皆んなを守るために強くなっている。フィーナちゃんもね」


「……!」


「この旅を通じてわかってきただろ?教師は人を教えるだけじゃない。生徒からも教わることがある。それを認めることが信頼の一歩だよ?」


「先生……」


「お前は私が今まで教えた生徒で一番頭がいい。もうここまで言ったらわかるな?」


レミューは続けて励ました。


「頼られたいなら頼ることからだ。もう少し仲間を信頼してやれ。そうすればお前は負けない」


ゼンの頭を撫でたあと無言のままレミューはその場から歩き出した。


ゼンはただ、星を見ていた。





フィーナはレミューの部屋で寝ているが寝苦しそうにうなされている。そして目を覚ました。



「はっ……!……はぁはぁ……」



フィーナはガバっと起き上がり、慌てた様子で机に座りメモ用紙に書き込んでいく。


『黒い花』『洞窟』『エレメント』『魔王の宝』


そして……


「たしかこんな名前だったはず……」


夢で見た最後の記憶を書き足した。



━━━ 『繁栄の石』

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