第25話『発見』
「おぉゼン、手こずったか?」
と、ゼンの顔に小傷を見て声をかけるヴェトンも多少の傷がついていた。
(ヴェトンの体にかすり傷をつけるとは…こいつらも相当な手練だったのか)
と転がった刺客を見つめるゼン。
「なぁ、このレベルになってくると殺さないで
(先生…もしかして私が前に言ったこと…)
フィーナが俯き、フィーナの胸中をゼンは察っした。
「なるべく殺しは避けたい。守りながら戦うのが難しければフィーナを連れて逃げにシフトしてくれ…すまん…」
その言葉にフィーナはひとり葛藤していた。
◆
トリニティの集落にたどり着いても雨は続いていた。
このトリニティに森林が広がる一因にこの雨の関係性は外せない。
年間降水確率2,000ミリと言われていて、乾季でなければほぼ毎日のように雨やスコールが吹く。
これは単純に計算すると各国の平均降水量の倍になる。
また、気温も高くもはや熱帯雨林に近い。
ただし、ゼンたちが到着した山の麓の集落は日射もあまりなく、標高が高いため寒い特殊な地域であった。
「さっきも言ったが懸賞金がかけられているらしいので俺とフィーナ、ヴェトンは別行動でして欲しい」
これにはヴェトンが慌てる。
「ま…待ってくれよ!1人じゃ不安だ…!」
(人見知りのツッコミはさておき、ヴェトン自体が目立つし、このキャラだしな…)
「さっきみたいな遭遇戦は仕方ないが、なるべくヴェトンというカードを知られたくない。賞金首になった以上この街も通報システムが敷かれていればヴェトンにも値がつくかもしれんしな」
「それに」とゼンは張り紙を指差した。
「ヴェトンあれを見てくれ…!」
ゼンが指を向けた先にあるのは求人票だった。
"『木こり求む!勤務時間8:00〜16:00、時給8G※短期OK!住み込み食事あり♬』"
「時給8Gはかなり高いぞ?それに飯も寝床もある。なにより!!」
ゼンが一拍置く
「そのガタイ的に屈強な山男のそれだ!!」
フィーナも思わず手を叩いた。
「たしかにヴェトンなら違和感ないじゃん!!むしろコレを求めてここに来たと言っても過言じゃないよぉ!」
「お前ら……!」
「早くシルキー見つけたら呼び返してくれよ?」と渋々ながらバイトに応募するヴェトン。
◆
久々の2人きりになったフィーナは少し緊張してしまう。そのせいかゼンとの会話は自然と沈黙になっていく。
「……あ!そうだ!シルキーさんの居場所ってこの集落で合ってるの?」
「フィーナには見えないかもな、あの浮かんでいる文字が……」
空に浮かぶ文字は村に到着している時には既に浮かんでいた。
「文字って、禍動でなんか書かれているの?」
「あぁ…手紙の時と同じだ。高等禍動士しかわからないくらいうっすらとした字を、ご丁寧にあんな複雑な文字まで…」
禍動で文字を書くのは禍動士の達人でも限られ、更には文字数も大抵は10文字が限界である。
(しかも何文字書いてるんだあいつは……)
ゼンは文字数と、一体いつからあれを出し続けているんだ?と呆れながら空恐ろしさを感じている。
(あいつ……さすがに5年も遊んでいたわけじゃなさそうだな…)
とあるダイニングバーから立ちのぼる禍動で作られた文字はこう書かれていた。
『なんなの?忙しいんだけど?見つけたらさっさと来てくんない!?ゼンのバーカ!バカバカバーカ!』
ちなみにヴェトンは即採用された。
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