第1話 入学式

4月1日

今日は私立颯清高校(さつじんこうこう)の入学式である


「ここが颯清高校かー」

校門の前で1人『黒井明日花』は颯清高校の風格に驚かされていた

「なんか楽しみだなー」


「新入生の皆さんは体育館へ集合してください」

玄関の辺りで大人が言っている

入学式の案内だろう

明日花は案内に従い体育館へと向かう

周囲の生徒達が集まる中、後ろから声をかけられた

「ねぇ、君もA組?」

「そうだよ。君も?」

1人の男子生徒が話しかけてきた

どうやら同じクラスの生徒らしい

「うん。じゃあ同じクラスだね

俺、川田裕翔。よろしくな」

「僕は明日花。

黒井明日花です」

「明日花ちゃんか、

こんな可愛い子がいるなんて。

ラッキーだな笑」

彼は頬を赤く染めながら言った

「・・・なにか勘違いしてない?」

「え?」

「僕男だよ?」

「え?」

キョトンとしている

たった今言われた真実に頭が追いついていないのか

「え?」

「まじ?」

「マジ」

「あー、なんて言うかごめんな」

裕翔はすぐに謝罪する

一応礼儀は正しいらしい

「いいよ、よくある事だから」

明日花はそう言って笑って返す

「じゃあ、明日花『君』?」

「なんで君付けなの?笑」

言われ慣れていない君付けに明日花は戸惑いながら聞く

「いやー、なんとなくかな」

「普通に呼べばいいよ」

「じゃあ明日花、よろしくな」

「うん、裕翔よろしくね」

入学式が始まる前にできた友達に明日花は内心ワクワクしていた



入学式が始まり

教員達が壇上で話している

しかし、生徒たちにとってはそんな話などどうでもいいことだ

(暇だなぁ…)

そしてそれは明日花にとっても同じことだった

「なぁ」

ふと、隣から小声で話しかけてきたのは

裕翔だった

「なに?」

明日花もバレないよう小声で返す

「ちょっと話さね?」

「いいけど、バレないようにね」

「明日花ってどこら辺に住んでんの?」

「港区の辺りかな」

「裕翔は?」

「俺は池袋の近く」

「家族とか来てるの?」

その話が来た時だった

「・・・」

一瞬明日花の顔が暗くなった

まるで嫌なことを思い出したかのように

裕翔は咄嗟にこの話は聞いてはならないような気がした

「あ、なんかごめんね

言いにくかったら言わなくても」

「ううん、仕事が忙しくてね

どっちも来れなかったんだ」

「そうなんだ…」

しかし裕翔は明日花の顔を見て今の話が嘘であると察した




入学式が終わり各クラスでのホームルームの時間

担任になった教師は朝玄関で案内していた教師だった

名前は高橋直樹というらしい

ホームルームを通した印象は生徒人気のありそうな『いい先生』のテンプレのような人だった

「えー、ではホームルームも終わったのでこの後は学校を各自で見て回ってもらいます」

「んじゃあ、解散」

生徒たちが一斉に立ち上がり各々がグループを作り新しい学校への探検に乗り出した

「明日花ー」

「なにー?」

「あ!待って!当てたい」

「『一緒に回ろー』でしょ?」

「正解笑」

明日花の無邪気な発言に裕翔も笑い出す

「いいよ」

「ほら早く行こ?」

裕翔と明日花は教室を出てこれから過ごす学び舎の探検へと向かった



次回

学校探検

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