第2話 戦闘、そして惹かれ

「犬飼、いるか?」


私は黒羽 澪に会って、名前だけ聞いた。ただ、あの目を見た時から、何故か胸がざわつく。気づいたら黒羽 澪のことを知ろうとしていた。


犬飼「どうした、夜凪。」


「職務質問リスト、見せてくれないか?」


犬飼「お前がそういうなんて珍しいな。何かあったんだな?」


「あぁ、見せてくれないか?」


犬飼の頬に謎の汗がある。春に差し掛かっているとはいえ、まだ汗をかく時期ではない。まさか、無くした、なんて言わないよな?


犬飼「実は何者かに盗まれてな。」


…無くしたよりももっとタチが悪かった。盗まれた?


「盗まれたって、どういうことなんだ?」


犬飼「気づいたら消えていてな。」


「それでよく盗まれたって断言出来るな。」


犬飼「監視カメラがあるからな。」


「なら何故回収しに行かないんだ!?」


犬飼「他は手一杯でな。ちょうどいい。お前に頼む、夜凪。」


「…犬飼なら言うと思ったよ。」


私は肩を竦める。


犬飼「よし、行ってこい。報酬は弾んでやる。」


私は仕方がなく向かうことにした。何故他の奴らに任せないのかは不思議だったが、まあいい。


辺境保安局を出る。夜風が髪をなびく。まだ夜は冷え込んで、少し身震いをする。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あの保安官は一体誰だったんだろう。人と関わると何かをから、関わらないようにしてきた。今もそう。でも、なんでかあの保安官のことが頭から離れない。初めての感覚。

ふと、路地裏から何やら話し声が聞こえる。


???「このリストか。俺たちが回収対象のやつが載ってるといいが。」


???「さっさとしろよ、バレたらどうすんだ。」


男が二人、分厚い書類を必死に見ている。そのうち一人が見張りだろう。

書類の一部が見える。


職務質問リスト一覧


(あの保安官の…?)

そう思うと、足が勝手に動いていた。


「何をしてるの。」


男A「あぁ?誰だよてめぇ。部外者は引っ込んでろ。」


男B「ガキがしゃしゃってんじゃねぇ。お子ちゃまは指しゃぶってお家に帰れ。」


「それ、辺境保安局のやつ。」


空気が凍った。


男A「はぁ…見ちまったなら仕方がねぇな。」


男B「大人しく従わなかったことを後悔するんだな!」


一人が、ナイフ。一人が拳銃。

私は咄嗟に武器を構える。レバーアクション式の猟銃。


男A「そんなおもちゃで何ができんだよ!」


男がナイフを振り下ろしてきた。私は持ち方を変える。銃身を持って横腹目掛けてフルスイング。正当防衛。


重々しい音に混じって男の断末魔が静かな路地裏に響く。


男B「なっ、てめぇ!」


放たれた銃弾を避け、姿勢を低くして素早く近づく。そのまま猟銃のストックで首裏に一撃。致命傷では無いけど、意識を刈り取る手っ取り早い方法。これも正当防衛…だと思う。


その時、路地裏の入口に一つの影が落ちる。


千景「君は確か…。」


「…あの時の保安官。」


私は職務質問リストを拾って保安官に差し出す。

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私は差し出された書類を見て固まった。探していた職務質問リスト。


「職務質問リスト!?これは君が!?」


澪「…うるさい。」


私は職務質問リストを畳んで懐に仕舞う。


「そうだ、澪。良ければ感謝状を受け取りに辺境保安局まで来てくれないか?」


澪「…今回だけ。」


澪と並んで辺境保安局に進む。会話もない静かな空気だった。だが、居心地が悪い静かな空気ではなかった。

ふと、澪の横顔を見る。見覚えのある横顔だった。


――もうこれ以上、何かを失いたくない。


人は違えど、その横顔は私と同じ横顔に見えた。


そうか、私は――

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辺境保安局に向かう途中。顔は動かさず、目だけでこの保安官の顔を見る。

少し、私と似ている顔だった。


――もうこれ以上、何かを失いたくない。


そんな顔だった。私とは赤の他人。会ったばかりの人なのに、何故か説明できない複雑な感情が渦巻く。


…もしかして私は――

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

この夜凪 千景のことが、気になってる…?

この黒羽 澪のことが、気になっている…?

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