幕間 アイナ
なんでこんなことに。
今まで森では見たことない魔物が現れ、ソラは魔物と一緒に森の中へと消えていった。
「わたしがわるかったんだ」
私がソラの言う事を聞かなかったから。
ちゃんと、おじさんが言ってたってことを聞かなかったから。
ソラは「またね」、って言ってた。
だけど、ソラが戻ってくる気配はない。
「そんなことない、ソラはぜったいもどってくる」
そう思い、寒いなか森の小屋で待っているが、一向にソラは現れない。
1時間待とうと、2時間待とうと、日が暮れかけようと、ソラは帰ってこなかった。
太陽が落ち、空が暗く染まったとき、外から音が聞こえた。
「っソラ!」
勢いよくドアを開けて外に出るが、そこにいたのはソラではなく、ソラの父親であるハーランだった。
「アイラ!無事で良かった。日が暮れてるんだ。さっさと帰るぞ。おい、ソラも出てこい。早く帰らないとエイナが怒るんだよ。」
しかし、ソラは出てこない。
「おい、ソラ?」
「おじさん...」
「アイナ、ソラのこと知らないか。一緒に遊んでたんだろう。しかし、あいつはなんで森に、」
「おじさん、ソラは、ソラはっ」
ソラのことをおじさんに話そうと思っても、口から言葉が出ない。
「どうしたアイナ、あいつになにかあったのか」
しかし、まだ言葉にできない。
その雰囲気から何かを感じ取ったハーランは、
「少しずつでいい。何があったか、教えてくれないか」
とアイナに呼びかける。
「ソラはね、わたしをまものからまもって、もりのおくにいっちゃったんだ。そしたら、ぜんぜんかえってこなくて。もう、わたし....」
「わかった。アイナは今すぐ家に帰るんだ。まだこの森に魔物が残っているかもしれない。ソラは俺が探しに行く。」
「だけど、わたしもソラのことをまってたい」
「だめだ。ここはまだ危ない。家に帰りなさい」
そう言われると、アイナには何もできることはなかった。
ただ、言われたとおりに家に帰ることだけしか。
家に帰ったあと、両親からのお叱りがあったが、全く耳に入らなかった。
無事で良かった、とかなんで今日も、とか色々言われたような気がする。
でも、アイナの頭の中はソラのことでいっぱいだった。
「なんで私のために」
「どうしてこんなことに」
「ソラはどこにいったの」
「本当に帰ってくるのか」
ずっと頭の中でこの考えが抜けなかった。
そのため、
「ソラはいつか帰ってくる」
だからソラに「おかえり」って胸を張って言えるような人になりたい。
アイナには、こう考えるしかなかった。
こう考えることしか自分をよく思えなかったからだ。
でも、どうやったら
「アイラには、まほうつかいのさいのうがあるかも」
アイラは、前にソラからこう言われた。
それを思い出した。
そうだ、これだ。
ソラに誇れるようになるには、すごい魔法使いになることだ。
そう考え、もう一つの疑問に生まれた。
「なぜ、私を助けたのか」
その答えが出ない。
ソラは、私にとって大切な幼馴染。
ソラもずっと同じように思っているだろうと考えていた。
でも、ソラは変なところで臆病だったし、あんなにかっこいいとは。
「かっこいい?」
ソラがかっこいい?
今までそんなことを思うことはなかった。
だけど、魔物に襲われそうになった時、ソラが助けてくれた。
あの時、私は初めてソラのことをかっこいいと思った。
いつもいっしょで楽しいから。
友達、幼馴染としか考えたことなかったが。
このかっこいいから生まれる感情は。
「好き」
私、ソラのこと、「好き」だったんだ。
ということは、私がソラのことを好きなら、ソラも私のことを..?
なら、守ってくれた理由も。
「そうだよね。わたしがソラのことすきだもん。ずっといっしょだったソラが、わたしのことすきじゃないわけないよね」
一度考えると、そのことしか頭に残らない。
「わたしはソラのことすき。じゃあ、ソラモワタシノコト、スキ」
ふふ、なんでこんな簡単なこと、今まで気づけなかったかったんだろう。
「まっててね、ソラ。わたし、ソラにみあうまほうつかいになるから」
そう考えたアイナは、まず次の日、ハーランのところに向かい、許しを貰いに行った。
ハーランもエリナも、アイナに対しては、何も言わなかった。
それは、子を持つ親としての気遣いだったのかもしれない。
しかし、許されてしまった。
許されたことで、アイナはこれでよかったんだ、と考える。
この気持ちのまま、過ごしていいんだ。
そして、アイナはハーランに教えを請う。
「おじさん、私に魔法を教えて」
アイナは、歪んだ愛を持ったまま、ソラに対する愛情を膨らませるようになった。
「待っててね、ソラ。私が迎えに行くから」
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