第4話 急な実践

時には遊び、時には魔法を教わりながら時間は過ぎていく。

7歳の誕生日になっても、僕は魔法を使えるようにならなかった。

ちなみに、誕生日は12月24日。

前世と同じだ、不思議だね。

「しかし、ここまで使えないとなると、なにかきっかけがいるかもな」

「きっかけ?」

「例えば、目の前に魔物が現れて襲ってくる、とかな。そんな奴もたまにいるんだ」

「こわいこといわないでよ...」

「俺も昔は山の向こうでたくさんの冒険をしてんだよ」

そんなことを家でハーランと話していると、外を見たハーランが真剣な顔をしている。

「どうしたの、おとうさん」

「ソラ、今日は森には行かないほうがいい」

急にどうしたんだろう、今までそんなことは聞いたことがない。

理由を聞くと、

「今日は森が騒がしいんだ。なにか変なものがいるかもしれない」

「へんなもの?」

「それこそ、魔物でも出てくるかも、な」

「わかった、アイラにもいっとく」

そう言って、僕はアイラのところに出かけた。

「ソラ、きょうももりにいこ!」

「アイラ、きょうはもりはやめない?おとうさんがあぶないっていってたんだ」

「なんで?いつもあぶなくないじゃん。きょうもだいじょうぶだって」

そう言って、アイラは森に行こうと僕の手を離さない。

「きょうはだめだって。おとうさんいつもよりこわかったよ」

「やだ、ソラがいかないならわたしだけでもいく」

アイラの決意は固いようだ。

なら、少しでも早く帰る努力をしよう。

いつもの小屋に来た僕は、何か森の雰囲気が暗いと感じた。

「なんかもりがくらくない?」

「そう?いつもこんなかんじでしょ」

しかし、なにかおかしい。

いつも聞こえる鳥の声が聞こえない。

すると、向こうのほうからカサカサと音がした。

「ソラ、なにかおとがしなかった?いってみようよ」

「アイラ、やっぱり」

突然、草むらからなにかが飛び出してくる。

「アイラ、あぶない!」

僕はアイラを引き寄せる。

草むらから飛び出てきたなにかは、前世で見たオオカミのように見える。

だが、体の節々からとげのような毛が生えていて、口には長い牙が生えている。

昔、寝るときに聞いたことがある。

あれはシルバーウルフという魔物だ。

あれが今の森の雰囲気の正体だろう。

「ソラ、にげて。ソラはまほうをつかえないでしょ」

「だけど。アイラもいっしょににげようよ!」

「どっちかはいないと。どっちにしてもにげれないよ。わたしはまほうがつかえるし、あいつなんかぶっとばしてやる」

アイラは手のひらに火の玉をだして、シルバーウルフに向かって飛ばした。

シルバーウルフは、アイラが放った火の玉を軽々とよけ、こちらに向かってくる。

「やだ、どっかいって!」

アイラはもう一度飛ばそうと試みるが、シルバーウルフは、もうアイラの目の前だ。

「アイラ!」

目の前でアイラがシルバーウルフに襲われようとしている。

僕には魔法が使えない。

だから、何もできない。

本当にそれでいいのか?

今、何もできないからといって、本当にいいのか?

今の体は前世と違って、何もできないわけじゃない。

そして、アイラは生まれた時から一緒にいる幼馴染だ。

アイラを見捨てることなんてできない。

だけど、僕には魔法が。

ふと、前世のことを思い出す。

前の体は病気にかかっていた。

その病気は、全身に正体不明の『なにか』が回り、体が壊れていく。

もし、それが『魔力』だとしたら?

前の世界には魔力は存在しない。

なぜ、今前世のことを思い出したかはわからない。

そんなことが役に立つかもわからない。

それでも、目の前のアイラを救うことができるなら!

「アイラから、アイラからはなれろ!」

僕は、シルバーウルフに向かって風を放った。







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