第6話

**4月25日**


今日はお休みだったの。


ここ数日、彼のことばかり考えてしまっているわ。


夜だってそう。


眠ろうとして目を閉じても、思い浮かぶのは彼の顔ばかり。


気付いたらそのまま眠ってしまっていたの。


そして夢を見たわ。


彼の夢。


やっぱり寂しかったのね。


私に会えない数日が、彼には耐えられなかったんだわ。


本当に素直じゃない人。


猫みたい。


夢の中の彼は、いつもより少しだけ甘えていた。


言葉はなくても分かるの。


私を求めていることくらい。


可愛い人。


現実では格好をつけてばかりいるのに、夢の中でだけ本音を見せてくれるなんて。


目が覚めた時、少しだけ幸せだったわ。


だって心は繋がっているんですもの。


昼過ぎ、気分転換にチェーンのカフェへ行ったの。


そしたら驚いたわ。


彼がいたの。


やっぱりそうだったのね。


相手を想う気持ちは、ちゃんと伝わるのよ。


夢の中で会ったばかりなのに、現実でも会えるなんて。


運命って本当にあるんだわ。


でも少しだけ嫌なものも見てしまった。


彼が店員の女に笑いかけていたの。


ふふ。


分かりやすい人。


嫉妬させたかったのね。


だってあの子、どう見ても彼の好みじゃないもの。


ありふれた茶色の髪。


適当にまとめただけの髪型。


特徴のない顔。


特徴のない身体。


どこにでもいる女の子。


私なら気にも留めないわ。


なのに彼は何度も笑いかけていた。


本当に不器用。


あんなことをしたら、あの子が勘違いしてしまうじゃない。


優しくされたくらいで、期待してしまう子もいるのよ。


彼は優しいから分からないのかもしれない。


困った人。


私がちゃんと見ていてあげないと。


私が守らなきゃ。


彼は私が思っているより、ずっと無防備なんだから。

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