第4話
4月23日
今日は彼は来なかったわ。
少しだけ寂しかった。
本当に少しだけよ。
だって私は分かっているもの。
彼が来なかった理由くらい。
きっと恥ずかしくなってしまったのね。
一昨日も昨日も、あんなに熱い目で私を見つめていたんですもの。
自分の気持ちが私に伝わってしまうんじゃないかって、不安になったのかもしれないわ。
可愛い人。
そんなに慌てなくてもいいのに。
私はちゃんと受け止めてあげられるわ。
だって私、見た目ほど子供じゃないもの。
周りからは若く見られるけれど、中身は大人なのよ。
あなたがどんな気持ちで私を見ているのかも、ちゃんと分かっている。
だから安心してほしいわ。
今日は店長も朝から妙によそよそしかった。
目が合うたびに逸らしてしまうの。
きっと意識しているのね。
大学生のアルバイトの坊やもそう。
商品の補充をしながら何度もこちらを見ていたわ。
お客様だってそう。
皆、私を見る時は同じ顔をするの。
憧れと、熱と、少しの諦め。
私は慣れているから分かるのよ。
でもね。
私は一途なの。
どれだけ見つめられても。
どれだけ想われても。
私が見ているのは彼だけ。
それなのに彼は優しい人だから。
もしかしたら、私が他の人から好かれているのを見て、苦しくなってしまったのかもしれない。
嫉妬。
恋をすると誰だってしてしまうもの。
仕方ないわ。
私だって少し嬉しかったもの。
だって彼はそれだけ真剣なんだもの。
今頃どうしているのかしら。
ちゃんと眠れているかしら。
ご飯は食べているかしら。
私のことを考えすぎて、またコーヒーを飲んでいるのかもしれないわね。
身体に良くないから心配だわ。
明日は来てくれるかしら。
きっと来るわよね。
だって恋人だもの。
安心して。
私はどこにも行かないわ。
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