第15話 協力要請

 翌日、これまでに集めた情報を整理すべく、朝早くから柳田と佐々木は会議室に篭った。


 毒殺された金井は、『鳥』というグループを作り、そこに登録していた女学生たちに高額なバッグを買い与えていた。


「佐々木さん、どのようなことが考えられると思いますか」

「そりゃあ、援交ってやつだろうよ」

「しかし、援助交際であればお互い同意の上でのやりとりです。足を運んだお宅の三名は、皆さん精神を病んでいたことをお忘れですか」

「確かに……。ってことは同意の上ではなかった可能性が出てくるよな。物で釣って無理ぐりってやつか?」


 佐々木はチッと舌打ちをした。


「どうされました?」

「万が一襲われてたとしても、俺たちに本当のこと話すと思うか?」


 それどころか、男を目にした途端恐怖で体調を悪化させる可能性があると、佐々木は物申した。


「今時の子ども達は、携帯一つで誰とでも繋がってしまいますから要注意ですね」

「おうよ、いかがわしい出会い目的の男なんて山程いるからな」


 柳田はジトっとした目で佐々木を見た。


「な、何だよその目はっ‼︎‼︎」

「別に。とりあえず、彼女たちがSNSで何か発信していなかったか、確認しましょう」


 柳田と佐々木は生活安全部に協力を仰ぎ、SNSの発信内容を調べ上げた。


「柳田くん、ちょっといいか」


 生活安全部の兵頭大輔に呼ばれた柳田は、彼が指し示す画面に釘付けになった。彼は配属十年目のベテランだ。


「この子も、その子もだけど、どうもモデル業に興味がありそうだね。ほら、この#見てごらんよ」

「なるほど。#モデルになりたい#お仕事募集中、ですか。ちなみに、最後の更新はいつ頃になっています?」

「そうだなぁ、ここ半年は全く更新されてないみたいだよ」


 柳田はやれやれという表情をした後、小さな溜息を吐いた。


「兵頭さん、ありがとうございました」

「いやいや、いつでも言ってくれよ」

「ちなみにですが、SNSで使われる隠語で『鳥』というものをご存知ですか?」

「鳥?」


 兵頭は、綺麗に剃られている顎をさすりながら記憶の奥を辿り始めた。


「そういや、一度だけ……。ちょっと手帳遡ってみるから、待っててくれ」


 兵頭はそう言うと、机から何年も前の手帳を引っ張り出し、中身を捲り上げた。


「あ、あったあった。以前厳重注意した男がいてさ、その男は『鳥』を『カモ』の隠語にしてたんだよ。ほら、あの鳥の『鴨』だよ。つまり、都合の良いターゲットってこと」


 兵頭の言葉に、柳田と佐々木は顔を見合わせた。


「兵頭さんに協力要請して本当に良かったです」

「おいおい、そんな柳田くんのようなエースに言われたら、浮かれてしまうじゃないか」


 兵頭は満足そうな笑みを浮かべると、持ち場に帰って行った。

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