第14話 つながり
「そっか、じゃあピッチピチの女子校生たちと何の目的で繋がってたかってことだよな。高級バッグまで買い与えてよぉ」
「そうですね、次はそこを念入りに調べましょう。とりあえず、あと数名、鳥グループにいた子たちの様子を伺っておくべきですね」
こうして、佐野萌奈という女学生に行きついた柳田と佐々木は、警察手帳を片手に、自宅のブザーを押した。
「あの、刑事さんが何か……」
警察手帳を見るなり、田川朋恵や河野さゆりの時と同じで母親が応対した。
「お嬢さんに少しお話を伺いたいのですが」
「娘が何か?」
「先日フォトグラファーの金井良太さんが亡くなられた報道はご存知で?」
「はい、さっきもTVのニュースで流れていましたから」
「その金井さんと交流のあった方に今、お話を伺っているんです」
柳田は淡々とした口調で、ことの経緯を説明した。
「交流のあった方って……娘が? あの、ここでは何なので、どうぞ上がって下さい」
玄関先での話を近隣住民に聞かれたくなかったのか、母親は半分しか開いていなかったドアを全開にすると、当たりを気にしながら刑事を二人、中に招き入れた。
「あの、今お嬢さんは?」
「実は入院していまして」
「入院?」
「ここ数ヶ月、様子がおかしくて。夜中一人になると急に泣き出したり、皮膚を掻きむしったりして」
柳田は、田川朋恵や河野さゆりの自宅でもした同じ質問を、目の前にいる母親にも投げかけた。
「いじめの可能性はありませんか」
「はい。同じクラスに中学から仲良くしているお友達がいるんですけど、その子に聞く限り、友達もそこそこいて成績も優秀なのに、何があったのか心配だって……」
柳田は、手帳にペンを走らせている。
「ちなみに、ここ一年ほどでお嬢さんの持ち物が派手になったり、服装が大人染みたりということは?」
「いえ……特には」
「そうですか。ではその他、ここ最近で何か変わったなと思うことはございませんか? どんな些細なことでも構いません」
柳田の言葉に、母親はそう言えばという表情を見せた。
「面接がどうのこうのって言っていました」
「面接? バイトですか」
「おそらくそうだとは思いますが、結局は落ちたんだと思います。一度出かけたきり、バイトに行く様子はなかったので」
「なるほど、少しお嬢さんのお部屋を拝見しても?」
許可を得た柳田は、佐々木を引き連れ部屋の中をくまなく調べ上げた。
「ありましたね、ほら」
柳田は佐々木を手招きすると、クローゼットの奥からまだ真新しい箱を取り出した。
「バッグか、あの野郎、マジもんでヤバい奴だったんじゃねぇか?」
佐々木は前回の失敗を頭に入れていたのか、母親の気持ちを察して小声で呟いた。
「このバッグ、ご両親からのプレゼントですか?」
「いえ、こんなバッグ買った覚えはありません」
「なるほど、しばらくお借りしても?」
「は、はい……。あの、娘は大丈夫なのでしょうか」
「それはまだ何とも」
三つの家庭で同じやり取りを繰り返す羽目になった柳田と佐々木は、後味の悪さを感じながらも、捜査を続けることになった。
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