第6話 喫茶店にて

 北欧家具で統一された白を基調にしたカフェCarlosは、お洒落な女子で溢れ返っていた。そんな中、濃紺のスーツを着た男が一人、女子の熱い視線を受けながらもクールに珈琲を嗜んでいる。


「お〜〜い柳田っ」


 先程までの重い足取りは何だったのか、佐々木は店に入るなりイキイキしながら柳田の元へやって来た。


「おや、顔色が随分と宜しいですね。お電話では死にかけていたように思えたのですが」


 佐々木が可愛い子ちゃんを見てエネルギーを自動チャージしていることを早々に見抜いた柳田は、いつも通りチクリと嫌味を吐き出した。


「まぁ、そう言うなって。で、渡したい資料ってのは?」

「これですよ」


 柳田はパンフレットを鞄から取り出すと、佐々木に手渡した。


「何だよこれ」


 佐々木が手にしているパンフレットには、『セントフォレスター学園』と記載がある。


「すぐ質問せずに、自分の頭でしっかり考えてから発言して下さい。あ、すみません、この方にクリームソーダと季節のフルーツパイを」


 店員を呼び寄せた柳田は、佐々木のである二品を注文した。遠回しに頭を働かせろと言っているのだ。


 そんなことを気にも留めない佐々木は、届いたクリームソーダのてっぺんに乗っかっているチェリーをひと齧りした。その瞬間ビビッときたのか、ポンっと手を叩いた。


「そうか、制服だ‼︎‼︎ あのアイコンの子、このセント何ちゃらっていう学園のほら、この特徴的なリボンしてたよな」


 柳田から受け取ったパンフレットには、あのアイコンに写る女学生と同じ、薄紫のリボンをつけた子が沢山載っている。


「おや、やはりは馬鹿にできないのかもしれませんね。しっかり堪能して下さい」

「おうよっ♪」


 佐々木は太陽のような笑みを浮かべると、キラキラ光る緑色のソーダで喉を鳴らした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る