第44話「寄生虫の破滅」

【5日目・潤視点】


民事裁判が終わった法廷は騒然としていた。しかし、その騒音は私とは別の世界の出来事のように遠く感じられた。私の神経はすでに次に行われる刑事裁判に集中していた。恵ちゃんと詩彩ちゃん、二人の被害は法的には一部救済された。しかし、あの寄生虫が犯した「殺人未遂」という明白な犯罪への裁きは、ここから始まる。


私は弁護人席に座ると同時に、被害者としても再び法廷に立った。被告席には、先ほどとは比べものにならないほど憔悴した伊藤直樹が座っていた。囚人服を着た彼の姿は、自らの罪の重さを視覚的に証明しているかのようだった。彼は私を見つけると歯ぎしりをしたが、今となってはその怒りも取るに足らない悪あがきに過ぎなかった。


裁判長が入廷し、刑事裁判の開始を告げた。私は立ち上がり、検察側と共に伊藤直樹の罪を一つ一つ明らかにした。


💬潤|「尊敬する裁判長。被告伊藤直樹の犯行動機は明白です。自身の不倫および欺瞞行為が発覚したことで、その責任を転嫁する対象を探し、すべての原因を被害者である私に押し付けました。これは自身の罪を隠蔽するため、担当弁護士を殺害しようとした極めて悪質な動機に基づくものです。」


私は証拠資料として、彼が送ってきた脅迫メッセージをスクリーンに映し出した。「メグミに手を出したら殺す」――低俗な言葉が法廷を満たす。これは単なる嫉妬ではなく、明白な殺害予告だった。


続いて私は具体的な犯行事実を説明した。屋上からのレンガ投下による第一の殺人未遂。その現場の証人である詩彩ちゃんが証言台に立ち、その日の状況を冷静に語った。彼女の言葉には一切の揺らぎがなかった。


💬潤|「さらに被告は工事中のトラックを利用して私を殺害しようとしました。事故死に見せかける計画的かつ残忍な犯罪です。運転席から発見されたレンガと、下ろされたサイドブレーキがその明白な証拠です。」


第二の事件の証人として恵ちゃんが証言台に立った。彼女の声は震えていたが、その眼差しは強く光っていた。彼女がいなければ、私はここに立っていなかっただろう。その証言は、直樹の最後の言い逃れを完全に封じる決定打となった。


最後に、詩彩ちゃんが確保した映像が再生された。公園のベンチでレンガを持ち、恵ちゃんに向かって走り出す伊藤直樹の姿。その映像は彼の全ての弁解を無力化した。再生が終わると、法廷は静寂に包まれた。もはや弁論の余地はなかった。


私は被告席の男を冷たく見据え、最後の意見陳述を行った。


💬潤|「被告は反省の兆しすら見せず、その罪を他者に転嫁し続けています。これは社会から永久に隔離されるべき極めて危険な人物であることを証明しています。厳正なる法の裁きを下されることを強く求めます。」


すべては終わった。残るのは、この罪人に下される法の裁きのみである。


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【5日目・竹山潤視点】


数多くの事件を扱ってきた。法服の重みはすなわち責任の重みであり、その重みにはとうに慣れているはずだった。だが今日、伊藤直樹という一人の人間の裁判記録をめくりながら、法の名のもとに下すべき判断がいかに冷たく、容赦のないものかを改めて実感した。


書類の中に記された彼の行跡は、単なる犯罪という言葉では収まらない、人間がどこまで醜悪になれるかを示す展示物のようだった。民事裁判の記録は彼の寄生虫のような生き方を証明し、続いて提出された刑事事件の証拠は、歪んだ支配欲と破壊的な怒りを余すことなく暴いていた。


💭裁判長|「自らの不幸を他者のせいにし、その責任を問う者に殺意を向ける……典型的な自己愛的怒りだ。更生の余地は極めて乏しいな。」


弁護人席に座る竹山潤と、その隣にいる二人の被害者を見た。一人は殺害予告の直接の対象となった人物であり、もう一人は彼の人生に搾取され、すべてを奪われた人間だった。彼女たちの顔には緊張と同時に、この忌まわしい因縁を終わらせたいという切実な願いが刻まれていた。この法廷は彼女たちにとって、単なる裁きの場ではなく、ようやく安全を取り戻すための唯一の出口だったのだろう。


私は最後に被告席の伊藤直樹を見た。彼はなおも状況を理解できず、怒りと自己憐憫に沈んでいた。その目には一片の反省も見られない。あのような人間を社会に戻すことは、猛獣を都市の中心に放つのと何ら変わらない。


今、判決の時だ。私は判決文を掲げ、法廷のざわめきを静めた。


💬裁判長|「判決を言い渡す。被告、伊藤直樹。」


私の声に法廷は完全な静寂に包まれた。一語一語に法の重みを込めて宣告を続ける。


💬裁判長|「被告は自身の利己的な欲望のために被害者らを欺き搾取し、その犯罪が発覚するとこれを隠蔽するため担当弁護人の殺害を企てた。犯行は極めて計画的かつ悪質であり、被害者が受けた精神的・身体的苦痛は甚大であるにもかかわらず、反省の態度は一切見られない。これらを総合的に考慮し……被告、伊藤直樹を懲役30年に処する。」


「懲役30年」。その言葉が法廷を満たした瞬間、被告席で何かが崩れる音がした。

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