第2話 容疑者、再入場
今回の戦場は、駅前の小洒落た和食居酒屋だった。掘りごたつではなくテーブル席で、豪はひそかに安堵した。足元の謎オブジェクトに翻弄される展開は、一度で十分だった。
女子三人が現れた。
一人目、黒髪清楚系。名前はあずきと言った。モノトーンのワンピース、最小限のアクセサリー、姿勢が良い。そして豪を見た瞬間、〇・三秒だけ、目が「あ、例の人だ」という色になった。
【光明寺豪・内心/刑事モード即起動】
見た。見逃さなかった。あの〇・三秒。あれは、事前情報を持つ者の目だ。つまり、みなみから、何かが、伝わっている。問題は、何が、伝わっているか、だ。
二人目、天然系。名前はまゆと言った。少し小柄で、ふわふわした栗色の髪。やや大きめのニットセーターを着ていたが、首元が少し開いており、彼女が破壊力の高い秘密兵器を胸元に隠し持っていることは、その時点で既に明らかだった。
「あれ、ここって掘りごたつじゃないんだ〜」とまゆは言い、それ以上でも以下でもない感想を述べた。豪の刑事モードが「……情報量ゼロ」と静かに呟いた。
三人目、美人系。名前はれいかと言った。見た目は完璧だった。骨格、肌、髪、全てが高水準で整合していた。しかしバッグには、ネーム入りのキーホルダーとアイドルのミニフィギュアが揺れており、着席するなりスマホをテーブルの端に置いた。待ち受け画面には、女子アイドルグループと思しき集合写真が設定されていた。一人だけ赤丸がつけてあった。
【光明寺豪・内心】
三人の布陣、確認完了。黒髪清楚・あずきは情報将校。天然・まゆは未知数。美人・れいかは……別の戦場に半分いる。今夜の難易度、前回比、上昇。しかし——飯は、食える。
(優先順位が既に確定している)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます