フードコートという、誰もがすれ違うだけの場所で、彼女はただ座っている。何かをしようとしていても、していなくても、目の前では別の何かが静かに変わり続けている。その二つが最後まで噛み合わないまま並んでいる感覚が、この作品の読み心地そのものだと思います。語りすぎない文章と、繰り返される小さなイメージが、読み終えたあともじわりと残ります。派手さよりも、静かな余韻を味わいたい人にぜひ届いてほしい作品です。