概要
南端から帰った。帰る前と同じ目で、世界を見ることはもうできなかった。
便利屋を営む鈴木姉妹——花枝と雪枝——は、町の総代・万亀から依頼を受け、南端地区に向かう。飼い獣が消え、人が消え、廃校の柱に「天雷鳥、在リ」と書かれた町。
姉の花枝は現実主義者だ。妹が何かを言いかけるたびに、彼女は言う。「そういうことは考えんでいい」。
妹の雪枝は読書家で、言葉を信じすぎる。感じることより、理解することを選んできた。
二人は見ていなかった。それぞれの方法で、見ないようにしていた。
南端の廃屋跡で、雪枝は消える。
残された花枝は逃げ、帰還し、日常に戻る。しかし帰った先で気づく——写真の空が蒼緑色に変わっている。時計が止まっている。どの戸も、開かない。
これは化物に追われる話ではない。「見ないことで成立していた自己」が崩壊する話だ。
姉の花枝は現実主義者だ。妹が何かを言いかけるたびに、彼女は言う。「そういうことは考えんでいい」。
妹の雪枝は読書家で、言葉を信じすぎる。感じることより、理解することを選んできた。
二人は見ていなかった。それぞれの方法で、見ないようにしていた。
南端の廃屋跡で、雪枝は消える。
残された花枝は逃げ、帰還し、日常に戻る。しかし帰った先で気づく——写真の空が蒼緑色に変わっている。時計が止まっている。どの戸も、開かない。
これは化物に追われる話ではない。「見ないことで成立していた自己」が崩壊する話だ。
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