十話 乗り遅れと地下二階
——ここは世界のどこかにある魔族の国。
八つの椅子が、一つの円卓を囲んでいる。
静まり返ったその空間は、まるで会議室のようだった。
「久しぶりやな。五十年ぶりか?そないにしても、自分ら老けたんちゃう?」
「
「おい、ジジイ。ワイに勝てるんか?固有魔法の優秀さは誰にも負けへんで。」
「
「
(いつの間に!影薄すぎや……)
「だけど
鼻で笑い馬鹿にするのは
「やかましいわ!女に言われる筋合いはない!」
「今の時代、男女を区別する時代は終わったはずでしょ〜!ねっ、
「えぇ。コンプライアンス違反には抵触する発言でしょう。」
——轟音が響く。
会議室の後方で爆炎が弾けた。二人の魔族が現れる。
「危なかったすね。先輩!爆破してなんとか間に合いました。」
「あぁ。パワーオブオール!」
爆破したのは
「全く、お主の固有魔法では放射線が出るから止めろと言ったではないか。」
空気が歪み、熱ではない“破壊そのもの”が生まれる。
さらに魔法式の精度に放射線が強く関係する。放射線を魔法式が浴びると形が崩れ魔法が正しく撃てなくなる。
「お前ら全員揃ったか?」
その声に、一斉に頭を地につける。
(……王が来た!)
「いらっしゃいましたか、Aøさま。」
「これから第一回七冠会議を始める。」
——新宿駅では
「ここが地下二階……。一段と雰囲気が変わりました……。」
「ここからは強力な魔物も出る。ほら。」
エリックが見据える先に魔物が現れる。
「乗り遅れだぁぁぁぁあ〜!」
「なんですか?あの出オチの魔物は……。」
リサは腫れ物を見るような目で見つめる。
「あいつは
——がぁぁぁぁぁあ
「詳しいね、エリック。その“友達”のおかげですか?」
エリックは小さく頷き杖を出す。
「さぁ片付けるよ。」
「どけ……、間に合わないだろ!」
「
「
エリックは地面に手をつく。
すると地面が盛り上がり雷を防ぐ。さらに
(私も……!)
「
隆起した地面が死角を生み、その隙間から炎を放つ。
しかし
——炎は消えた。
比喩ではない。
さっきまで燃え盛っていたはずの炎が跡形もなく消えている。
(なんで……!魔法がかき消された。)
——ジュ。
焼けた匂いが鼻を刺す。
一瞬、自分のものだと理解できなかった。
遅れて、背中から崩れ落ちる感覚。
呼吸が浅くなる。
(……消えたんじゃ、なかった)
視界の端で、炎が揺れている。それは確かに、自分の魔法だった。
リサの背後から、正確に撃ち抜かれていた。
「リサ!」
「平気です……炎の属性を扱うから火には多少は耐性がある……。」
リサは口では強がるが体が震えている。
服が焼かれ露出した肌も真っ赤に腫れている。
(エリックに今は心配されたくない……。)
リサのわがままなのは本人がよくわかっていた。
きっとエリックなら火傷をすぐに治す魔法くらい持っているだろう。
——しかし
(隣に立つって、決めたんだから。)
「
リサは火傷のズキズキとした痛みを堪えて
「遅いな……。間に合わないぞ。」
「まずは……一人……。」
——
——バチバチ
何かが弾けた。
直後、音が消えた。
感触が消える。
そして——自分の体の存在すら、曖昧になる。
リサの視界は真っ白になり音も感触も全てが消え失せた。
「おい。」
エリックは血を這うような声で言う。
エリックの周囲の空間が、わずかに軋む。空気が重く沈み、呼吸さえ困難になる。
「僕の仲間に手を出したらどうなるかわかるよね?」
エリックは指先に光属性と闇属性の魔法を練り出した。
——
エリックは魔法を唱えなかった。
ただ、次の瞬間には物凄い衝撃、轟音……。
(まさか僕が編み出した“雑魚殲滅魔法”で倒せるとは……。)
エリックは倒れるリサに近寄りリサを担ぐ。
魔法で浮かせることもできたがそれは何故か、エリックの考えには浮かばなかった。
(リサを傷つけさせない。それが、僕の今の
エリックは安全地帯を探して歩き出した。
魔法はやがて現実へ ——魔法はこの世界のものじゃない。 TUNAKAN @TUNAKANv
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