ひとまず、第一部(? 『~ヴォルカ特務官と違法種族転化~』第25話)まで読ませていただきました。
序章から『違法種族転化』という面白そうな事件がぶっ込まれ、まんまと心を鷲掴みされました。
あらすじの冒頭には「魔法」とありますが、本文で頻出する言葉は「魔導」です。
違いは正直よく知らなかったのですが、この作品を読んで「魔法的なものを科学技術に落とし込んだもの」を「魔導」と呼ぶのではないかと思うようになりました。
そう説明されたわけではなく、そう理解させられました。
これはつまり、世界観や技術をくどくどと説明することなく、描写で伝えているということに他なりません。脱帽です。
全体を通して映像化を軸に据えているような筆致で、没入感がありました。
魔導スチームパンクという世界観だけでも魅力的なのに、キャラクターがその魅力を上回るので困りました。
刺々しく排他的だったイリスが、ノアの優秀さに触れ、彼を認め、感情まで柔らかくなっていく過程が微笑ましく、気がつけばめちゃくちゃ好きなキャラクターになっていました。
(冷静に振り返ってみるとどちらもぶっ飛んでいるのですが、不思議と可愛く見えるのです……)
そしてそして、テンポのよさが最高です。
現場を調査し、手掛かりを掴んで次の現場へと向かう。とんとん拍子のように見えて、この二人でなければこうはいかないという説得力がまた爽快でした。
最後に余談ですが……ノアのお父さんカッコよすぎ。
バディものに飢えている方、是非!
眠たげで気怠いのに、任務となれば鋭く状況を見抜いていく特務官イリス。
そして、人懐っこく柔らかな雰囲気をまといながら、観察眼と実力を隠し持つノア。
序盤から、この二人のバディ感がとても魅力的です。
違法種族転化という不穏な事件を軸に、帝国魔導特務局、暗務局、異端審問教会、皇帝派と教会派など、組織や世界観がしっかり作り込まれていて、読み進めるほどに物語の奥行きが見えてきます。
特に、イリスがノアを警戒しながらも少しずつ評価を変えていく距離感が楽しいです。
ノアもただ明るいだけではなく、気配の消し方や死体への手慣れた対応など、随所に「普通ではない」一面が滲んでいて、今後の関係性が気になります。
魔導、事件捜査、組織もの、そして癖のあるバディが好きな方におすすめしたい作品です。
何と緊張感があって独特な空気感なのだろう。緻密な設定や掛け合いに脱帽したくなる作品であった。
魔法が科学に似た形に収斂した世界。陰謀と禁忌が渦巻く不穏な帝都に、女科学者のイリスと諜報員のノアが挑んでいく所謂バディものたる本作なのだが、マジでどっちもイカれてる。『才能』という言葉に異常な拒否本能を持つイリスに、お人好しで人懐っこいけど、時折戦闘狂でマッドな一面が覗くノア。街なかで解剖を始めたり、敵地で才能という言葉について激論をかわし始めたりと二人がツッコミ役不在のシリアスでイカれたストーリーを醸し出してくれる。
ダークで不穏、そして陰謀マシマシ。じっくりと読んでみたくなる一作だ。