第2話 引きこもりっつ!

うばっつ!〜ある中年ウーバー配達員の物語〜


第2話 引きこもりっつ!


退職金がドンと入った瞬間、

俺はこう思った。


「……これ、人生クリアじゃね?」


いやほんと、やることがなくなったとき、人は本当に自由になる。

問題は――自由すぎてヒマってことだ。


とりあえず、昔買ったまま放置してたゲームを起動した。

そう、『ファイナルファンタジーX』。


「ティーダとユウナがさ……ほら、切ないじゃん?」


泣いた。ガチで。

「なんで俺、テレビに向かって嗚咽してんの?」ってぐらい泣いた。


ゲームをやりきって、

次はAmazonプライムでアニメを漁る。


『ガンダム』をZZまで観て、

『逆シャア』でシャアに呆れ、

「やっぱ俺、アムロ派だったわ」って再確認した。


しかし不満があった。

最新アニメ、すぐに観れない。

「え、続きは数週間後ってマジ?」


イライラしながら検索すると──

見つけた、dアニメ。


月額480円。

コスパ、神。


「俺が学生の頃はなぁ、レンタル1本380円やぞ」

「5本で1000円!とか言って借りて、延滞で地獄を見るんやぞ!」


そうブツブツ言いながら、ポチッと登録。


気づけば毎日がアニメとゲームで終わっていた。

一日が秒速で終わる。

昼になって起きて、

コンビニで朝昼兼用のサンドイッチ買って、

食べて横になって──


「あれ? これって……最高では?」


世間的には「引きこもり」だが、

俺にとっては「自宅型ライフ・イズ・ビューティフル」だ。


会社に行かないストレスフリーな生活。

無限に溢れるコンテンツ。

そして、誰にも怒られない日々。


ただ、一つだけ問題がある。


 金が、減る。地味に、着実に。


貯金はある。

だけど「このペースだと何年持つか?」と計算を始めたら──


眠れなくなった。


「就職?……うーん、それはないな。」

「バイト?……なんか違う。」


そんなときだった。

あの男を見かけたのは。


黒い箱を背負い、

コンビニに颯爽と現れた「アイツ」。


そう、彼こそが――

ウーバー配達員。

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