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概要
砂糖とクリームが、17年分の「洗脳」を溶かしていく。失うものもゼロだ。
逃亡者――名前はない。友も、家族もいない。あるのは識別番号と、首の後ろに埋め込まれた、爆薬入りの発信機だけ。
研究成果――十七年に及ぶ研究開発の末に完成した《兵士》。感情の破片に傷つかず、己の生存すら顧みない、完璧な兵器。
だがその夜、大使館のサーバールームで、《兵士》は引き金を引かなかった。銃口の先にいたのは、取るに足らない一人の人。その目に浮かんだ恐怖は――《兵士》自身が、誰よりもよく知るものだった。
かつての捕食者と、その獲物。追われる二人が夜明け前に転がり込んだのは、場末のダイナーだった。そこで《兵士》は、生まれて初めてコーヒーを飲む。砂糖とクリームをたっぷり入れた、ただ甘いだけの一杯を。
「今まで飲んだ中で一番甘いもの」
生まれて初めて、自分で選んだ味。
この一杯から、す
研究成果――十七年に及ぶ研究開発の末に完成した《兵士》。感情の破片に傷つかず、己の生存すら顧みない、完璧な兵器。
だがその夜、大使館のサーバールームで、《兵士》は引き金を引かなかった。銃口の先にいたのは、取るに足らない一人の人。その目に浮かんだ恐怖は――《兵士》自身が、誰よりもよく知るものだった。
かつての捕食者と、その獲物。追われる二人が夜明け前に転がり込んだのは、場末のダイナーだった。そこで《兵士》は、生まれて初めてコーヒーを飲む。砂糖とクリームをたっぷり入れた、ただ甘いだけの一杯を。
「今まで飲んだ中で一番甘いもの」
生まれて初めて、自分で選んだ味。
この一杯から、す
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