ミスフォーチュン・クッキー 6

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 ミスフォーチュン・クッキーの一件が片付いて、私は一人で公園に来ていた。

「はぁ……癒される。この小さな箱庭的な公園……最高すぎる」

 ここは、ロアムにデビルクラフトの説明をした公園。住宅街の中に申し訳無さそうに造られたこの場所は、翡翠公園という名前らしい。翡翠と読むのか翡翠と読むのか分からないけど、近くに綺麗な小川がある。カワセミが来てくれたら嬉しいのでカワセミ公園と名付けよう。


 ……もちろん、私の中でね。


「あれから一週間か……ミスズは、無事に釈放されたのかな。」

 シキ曰く、強制送還された悪魔は、メッチャ強い悪魔に身柄を拘束されるらしい。拘束期間は、犯した罪に比例すると言っていたが……「ミスズは大した事してないから七日くらいじゃね?」とも言っていた。

 そんな事を思い出しながら、私は空を眺める……空は良い。自由を感じるから好きだ。


「あれ……マコトちゃん?」

 聴き慣れた声が背後からする……うん、てかロアムだよね。

 私は振り返りロアムに挨拶をした。

「ロアム、立ちっぱもなんだし……隣座んなよ」

「……ありがと」

 私達は、お互い何を話して良いのか分からず暫く沈黙した。

「なんか、マコトちゃんとこの場所に居ると、あの日の事を思い出すね……」

 そうだった……ここで、ロアムと話して。その後、ロアムの彼女であったミスズは魔界に強制送還されたのだった。……迂闊だったな、嫌な事を思い出させてしまったか。


「マコトちゃん……僕はね、君とシキちゃんに感謝しているんだよ。」

「僕もミスズちゃんも、あのままの状態だったらきっと後悔する事になっていたんだ。僕達は、お互いに本心を隠し歪んだ日常を送っていた」

「……うん。そうだね」

「その歪んだ日常に、甘えて縋って……結果がお別れだったんだ。」

「でも、それで良かった。僕達はお互いに終止符を打ちたかったんだから……」

「ロアム……」

 別れは辛いものだ……でも、生きている限りコレとは離れられない宿命にある。だから私達は、毎日を一生懸命生きているんだ。いつか訪れる別れに後悔をしないように……


「あ、そうだマコトちゃん。今度、僕達四人で遊びに行かない?」

 ん……? 何?? コイツは何を言っているのだろう? 四人って? 

「ロアム、四人って……どういう事?」

「あれ? 言ってなかったっけ? ミスズちゃんが魔界から帰って来てさ。僕達今、同棲しているんだよね」

「…………は?」

「母さんも目を覚ましてさ、病院でリハビリ頑張ってるよ。早く孫の顔が見たいとか言われちゃってさぁ〜〜困っちゃうよね。あはははッ」

「……おい。」


 私の意識はここで切れた……ロアムに何を言ったのか憶えていないが、脱兎の如く帰る前にメッチャ謝っていたので。多分マジギレして詰めたんだろうな……。

 ロアムの話だと、ミスズは事件の次の日には戻って来たらしい。二人で本心を話し合い結果同棲して協力関係になったとか。シキの占い通りになったみたいで、なんと言うか……幸福な奴らだ。


 ふふ……でも、良かったな。何はともあれ笑い話になるのなら、それが一番だ。


「さて、私もそろそろ帰ろうかな。」

「真……」

「うわぁッツ‼︎ ……って、シッキーか。びっくりしたぁ」

 シキは、いきなり私の隣に現れた。……いつから居たのだろうか?

「……てか、どうしたのシッキー。真っ青な顔してさ」

「真……へへ、クソふぁっくにヤベェ状況になっちまった……。」

 一体何がッ⁉︎ というか、シキのこんな顔は見た事がない! この顔だけでもシキに尋常じゃない事が起こっているのは理解出来た。

「シッキー、何があったの……?」 

私がシキに詳細を聞こうとした刹那……頭の中でとても澄んだ音が響いた。デパートなどでよく聴く館内アナウンスだ。いや、頭の中で鳴っているので「脳内アナウンス」か?


「ピンポンパンぽ〜ん♪」

「黒井木シキ様、もといタロト・ヴィスコンティ様。及び、パートナーの綿津見 真様。判決を申し渡します。」

「は? ……何これ? 判決って、シッキーどういう事? てか、なんで私まで?」

「グゥ……クソがッツ‼︎ 真、これは理の代弁者だ!」

「理の代弁者?」


 シキは、苦虫を噛み潰したような顔をしている。なになになに……メッチャ怖いんだけどッ

 理の代弁者は、さらに私達の脳内で放送を流し続けた。

「世界法判の改訂により、タロト様の持つ全術式及び、所有する全ての魔力使用を制限させて頂きます。今後、人間界での術式及び魔力の使用は、綿津見 真様の許可が必要になり。これに違反した場合は……」


「死刑が執行されます。」

 …………死刑って。……マジか。

 暫く、私達の間に沈黙が続いた……脳内アナウンスは、何やら他にも放送されていたけど。私にはそれを聞く余裕は無かった。だって、「死刑」ってパワーワード強すぎでしょ!


「クソファック! ルール改訂でアタシに強力なデバフが掛かりやがった‼︎ おまけに、何故だか魔界にも帰れねぇ!」

「えっと……つまり、今後人間界でシッキーが活動するには、全てにおいて私の許可が必要になった。っていう事? しかも、魔界にも帰れない??」

「……そういうこった。アタシは、お前が居ないと文字通り『クソ雑魚』になっちまった訳だ」

「なる……ほど?」

「つー事で、解決策が見つかるまでお前の家に住まわせて貰うわぁ……よろしくな真。」

 シキは気軽に私の肩をポンポンと叩いた。


「エッッツ‼︎ ……マジィ‼︎」

「マジも大マジだよ。お前はアタシに野原で寝ろってのか? この上級悪魔で最強のアタシによぉ……」


 ……なんだか、とんでもない事になってしまった。アタシとシキがルームシェアって。というか代弁者は、世界法判の改訂とか言っていたけど……解決策って有るのだろうか?

 もし、このまま戻らなければ……シキはずっと私の隣に居るって事ぉ?

 …………まぁいいか、今考えても答えが出るわけでもないし。何とかなるっしょ。

「しゃーない。シッキー、とりあえず生活用品買いに行こっか。」

 こうして、私とシキは魔怪な同棲を始める事になった。私としては、友達と暮らせるので少しワクワクしているのだが……

「おう、行こうぜ真。てかアタシ、人間界の金持ってねぇんだけど」

「おぉぉーーい!!」

 ……コレはコレで前途多難である。



                   ミスフォーチュン・クッキー 完

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クロスロード 〜ユニークアイテムの回収屋は女子高生の最恐タッグ!?〜 六道修羅 @rokudo_syura

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