悪役令嬢の見た夢ーもう一度やり直すー(全文AIです)

ちゃんこ鍋たべたい

もう一度、あの世界に



目を開けた瞬間、私はすべてを理解した。


――やり直し。


柔らかな天蓋。整えられた寝台。若い身体。


そして、頭の奥に流れ込んでくる知識。


貴族。婚約者。学園。

そして――悪役令嬢。


「……ふふ」


笑みがこぼれる。


やっぱり、そうだったのだ。


私は最初から、こういう役だった。


理不尽に責められ、断罪される存在。

誰にも理解されない、可哀想な役。


「なら――今度は」


私はゆっくりと起き上がる。


「完璧にやってあげる」


前は中途半端だった。

正しさを押し通そうとしてしまった。


でもそれが間違い。


大切なのは――


“正しく断罪されること”


***


学園に入ってすぐ、私は彼女を見つけた。


ヒロイン。ミラ。


あの顔。あの仕草。

胸の奥がざわつく。


けれど、すぐに切り捨てる。


違う。


あれはただの役割。


私は近づく。


「あなた、名前は?」


「ミラ、です」


「そう」


私は柔らかく微笑む。


周囲の目を意識して。


「困っていることはない?初めてでしょう、この環境」


ミラが驚いたように目を見開く。


「え、あの……」


「遠慮しなくていいの。助け合うべきだもの」


ざわり、と周囲がざわめく。


いい。


この空気。


「優しい」「気高い婚約者」

そう思われる位置を、まず確保する。


これが土台。


***


数日後。


私はわざと、小さな“誤解”を作り始めた。


ミラの持ち物を一つ、別の場所に移す。

彼女が誰かに話しかけたタイミングで、視線を集める。

そして――


「ミラ、そういう行動は誤解を招くわ」


あくまで“注意”。


あくまで“善意”。


でも、周囲にはこう見える。


――彼女は問題のある子なのでは?


少しずつ、少しずつ。


私は空気を整えていく。


***


「最近、あの子ちょっと変じゃない?」

「エヴァーストーン様が注意してるって聞いたわ」


その声を聞きながら、私は静かに微笑む。


いい。


とてもいい。


まだ足りない。


もっと。


もっと積み重ねる。


***


ある日、王子が言った。


「ミラのことで、何か知らないか?」


「……ええ」


私は一瞬だけ迷う素振りを見せる。


そして、ゆっくりと視線を伏せる。


「……彼女、少し不安定なところがあるの」


王子の表情が曇る。


「でも、きっと大丈夫。見守ってあげましょう」


優しく言う。


あくまで、彼女を思っている“ふり”で。


その瞬間、すべてが決まった。


***


やがて、噂は確信に変わる。


ミラは孤立した。


そしてある日――


「エヴァーストーン様が、あの子をいじめているらしい」


その言葉が流れた。


私は何も言わない。


ただ、少しだけ悲しそうな顔をする。


それだけでいい。


周囲は勝手に補完する。


――あんなに優しい人が、そんなことするはずがない

――きっと誤解だ

――でも、あの子の様子もおかしいし……


揺れる。


揺れて、混ざって、濁っていく。


完璧だ。


***


そして、その日が来た。


広間。


人々の視線。


王子の険しい顔。


「カミラ・エヴァーストーン。君はミラに対して不当な行為を行った疑いがある」


来た。


胸が高鳴る。


「……私は」


声を震わせる。


「そんなつもりでは……」


完璧な震え。


完璧な涙。


「ただ、彼女のためを思って……!」


周囲がざわめく。


同情と疑念が混ざる。


王子が目を伏せる。


「……結果として、彼女は追い詰められた」


その言葉に、私は一瞬だけ顔を歪める。


――喜びを抑えるのに、必死だった。


来た。


やっと。


「……そう、ですか」


私は小さく笑う。


壊れたように。


「やっぱり、そうなるのね」


誰も理解しない。


誰も分からない。


私は正しかったのに。


それでも責められる。


――ああ。


「よかった」


ぽつりと呟いた。


「……は?」


王子が顔を上げる。


私は笑う。


涙を流しながら。


「これで証明されたもの」


「何を……」


「私は、悪役令嬢だったのよ」


静まり返る広間。


「最初から、そういう役だった」


「何を言っている!」


「だってそうでしょう?」


私は一歩前に出る。


「どれだけ正しくても、どれだけ我慢しても、こうなる」


声が弾む。


抑えきれない。


「なら、やっぱり私は――」


息を吸う。


そして、はっきりと言った。


「可哀想な被害者だったのよ」


その瞬間、胸の奥が満たされる。


空っぽだった場所が、ぴたりと埋まる。


ああ。


これだ。


これが欲しかった。


理解でも、愛でもない。


この“証明”。


私は間違っていなかった。


世界の方が、間違っていたのだ。


「……断罪を下す」


王子の声が響く。


歓声とも、罵声ともつかない声が上がる。


でも、そんなものどうでもいい。


私は微笑む。


満足して。


誇らしく。


「ありがとう、王子様」


その言葉に、誰も意味を理解できなかった。


けれど私だけは知っている。


これは罰じゃない。


救いだ。


だって――


やっと私は、


“正しく不幸な私”になれたのだから。





処刑台は、思っていたよりも高かった。


見下ろせば、人、人、人。

無数の顔がこちらを見上げている。


怒り。軽蔑。好奇。

けれど、そのどれもが心地よかった。


ああ、見ている。


みんなが、私を見ている。


「罪人、カミラ・エヴァーストーン」


声が響く。


「貴族としての義務を逸脱し、民を害し、秩序を乱した罪により――」


長い宣告。


けれど、言葉の意味なんてどうでもいい。


大事なのは、ひとつだけ。


私は、断罪されている。


それが、すべてだった。


「――極刑に処す」


ざわめきが大きくなる。


誰かが石を投げた。


額に当たる。血が流れる。


痛みが、じんわりと広がる。


でも、不思議と嫌じゃなかった。


むしろ――


「……ふふ」


笑みがこぼれる。


やっぱり。


やっぱり、こうなるのだ。


私は間違っていなかった。


どれだけ正しくしても、こうやって責められる。


それが証明された。


それでいい。


それで、いいのだ。


刃が振り上げられる。


空が、やけに青かった。


そのとき。


――まま。


声がした。


はっきりと。


すぐ近くで。


一瞬だけ、視界が揺れる。


淡い色の髪。

こちらを見つめる瞳。


「……あいり?」


口から、名前が零れた。


けれど、その姿はすぐに消えた。


代わりに、眩しい光が差し込む。


そして――


***


ピッ。


ピッ。


ピッ――


規則正しかった音が、わずかに乱れる。


白い天井。


消毒液の匂い。


動かない身体。


まぶたの裏に残る、青い空。


「……あ……」


声が出ない。


喉が乾いている。


視界の端に、誰かの影が映る。


医者だろうか。看護師だろうか。


よく分からない。


ただ、音だけがはっきりと聞こえる。


ピッ――

……ピッ。


間隔が伸びる。


そのとき、胸の奥が満たされていることに気づく。


温かい。


安心している。


ああ。


うまくいったのだ。


ちゃんと、やれた。


私は断罪された。


誰にも理解されず、責められて、傷つけられて。


それでも私は、正しかった。


それが、証明された。


「……よかった」


かすれた声が、かろうじて漏れる。


これでいい。


これでやっと、終われる。


もう、間違えなくていい。


もう、証明しなくていい。


私はずっと――


正しかったのだから。


ピ――――――――


音が、一直線に伸びる。


誰かが慌ただしく動く気配がする。


けれど、もうどうでもいい。


意識が、ゆっくりと沈んでいく。


暗闇の中で、最後にひとつだけ思い出す。


小さな手。


笑った顔。


――まま、だいすき。


その言葉の意味を、考える前に。


すべては、静かに途切れた。


***


病室には、機械音だけが残った。


やがてそれも止められ、静寂が訪れる。


ベッドの上の女の顔は、穏やかだった。


長い間、何かに追われていた者が、ようやく解放されたような。


安らかな表情。


だが、その理由を知る者はいない。


机の上には、古いゲームソフトがひとつ。


画面は消えたまま。


そこに「悪役令嬢」という役が存在しなかったことも。


彼女が最後まで、それに気づかなかったことも。


もう、誰にも確かめることはできなかった。




ただ――

引き出しの奥から見つかった、一枚の紙だけが残った。

震えた文字で、短く書かれている。

『母が好きだったから、認められる子になろうとしたけど、できませんでした』

それが、彼女の娘の遺書の、最後の一文だった。


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悪役令嬢の見た夢ーもう一度やり直すー(全文AIです) ちゃんこ鍋たべたい @Chankotabe

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