紅白

 ほどなくして、空に、煙の帯筋おびきんで、声明が上がった。


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 REIGNレイン——支配する、と、読めた。


 直後、いつも黒雨くろさめ

 〈花出ハナイヅル國〉の罪なき市井しせいの人は、謎の体調不良にあえぎ始めた。


 痒みくしゃみから始まり。

 発疹。

 頭痛。

 吐き気。

 嘔吐。

 下痢。

 発熱。

 吐血。

 意識の喪失。


 また、「まるで先の大戦、ヒロサキでぜた新型兵器の再来だ」などとも言われた。


 しかしすぐ、「待ってました」とばかりに、異例の速さで特効薬が出回り始めた。


 大きな箱に小さな錠剤、箱の裏面、誇らしげに製薬会社名『レプリゼンティティブ・オブ・メディック』の太文字ボールドな印字。


 薬はなかなかに高価だった。


 日々の生活で精一杯の庶民の中には、手が出せない者も多かった。


 の代替案として、口伝くちこみで広がった安価の民間療法があった。



 ———ドクケシウリの大輪の花を丸ごと食べること


 

 『命の丘』には注文が殺到した。


「お父さん!」

「うむ、やるぞ!」


 『命の丘』の父娘おやこは、皆の要望に応えて、せっせと栽培に励んだ。


 丘の白は、空の雲の白よりもずっと白かった。


 ドクケシウリの真白ましろの花は、人々を苦しみから救った。


 しかしこれをよく思わないものがいた。


 それは利権集団だった。


「電離粒子の散布はうまくいった」

「ええ、ええ。これで処方箋が飛ぶようにられます、まるで造幣局」

「ああ。が、期待値を下回っている……ひとつお邪魔虫があるな」

「ええ、ええ。あの花園、叩きましょう」


 彼らはいつも暴利をむさぼる。


 ある日……


 花園は燃えた。


 何者かによって、焼かれた。


 火炎の紅は白園しらぞのに映えた。


 ことごとく、全焼だった。


 ドクケシウリは父娘おやこともども灰燼かいじんとなった。


 しかし希望もあった。


 焼け野原な丘の中腹。


 ひとつ芽が出た。


 肥沃土より遺志の栄養を吸い上げ、みるみる育った。


 白い花が咲いた。


 世界で一番白い花だった。


 男が通りがかった。


「よかった。こんなところに、まだいたんだね」


 男は、おくるみ乳飲子ちのみごをあやすように、鉢に植え替えて抱えた。


 持ち帰り、育てた。


 胸にいかりの紋章のワッペン。

 REBEL——叛乱はんらん軍の一員だった。


 その日も雨があった。


 久々の、透き通る白の雨だった。


 あとで、虹が架かった。


   〈了〉

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レイン ∽恵る花園∽ 加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】 @sousakukagakura

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