第42話 いつでも
「あのー、陛下……?」
陛下は私が言ったへそを取られるなどの戯言をまだ信じていた。そのせいでソバ殿が困惑している。
「サウス王よ、冗談が過ぎました。先ほどの話は軽い挨拶だと思っていただければ。」
私は頭を下げる。するとサウス王は
「あ、あぁ、冗談か〜。マーガレット殿は随分センスがよろしいのですね。あはははは…。」
と言い気にしていない様子であった。というか本当にコイツ大丈夫か?
「では、早速何ですが…今回の戦争の件について……。」
私は本題を出す。こんなくだらない冗談を言いに来たのではないのだから。
「一つ、サウスの完全降伏。二つ、サウスの領地をイーストにすべて譲渡。三つ、サウス譲渡に伴い合併国ラインの再建設。四つ、部隊の再編成。いかがでしょうか?」
私は四つの条件を一気に述べた。
「お待ちを!完全降伏はともかく、二つ目以降はいくらなんでも…!せめて、賠償金の支払いや今後の戦争においてイーストに全面協力をするなどではないのですか?!ウエストの時もそうでしたが、何故そこまで!領地にこだわるのですか?!」
ソバが文句を連ねる。
「自分の国が消えるが嫌だという気持ちは分かりますが……。私達が求めるものは一つのみ…!」
『意見を否定』or『相手の条件を呑む』
『意見の否定』
「五カ国の統一です…!」
行動制限ツーは自身の行動でも選択肢の表示が可能である。
「先程の条件を承認できないのであれば交渉の余地なしということでこの国を滅ぼします。私の暗殺計画をしたことも報告しようかと。それにそちらの戦力である難攻不落南ノ軍勢幹部は全滅。更には雷魔法による無差別攻撃。あなた達に抵抗する術はありません。つまり返事は?」
「はい。陛下……、私らの負けです。降伏しましょう。」
「え?ホントにいいの?!ソバさっきまで否定してたのにえ?何で?」
「サウス王よ。よろしければこちらの誓約書をお書きください。」
ソバは突如、虚ろな目に変わりイースト側の条件を許諾。マーガレットによる圧。サウス王は完全に困惑していた。政治のできぬ王にこのような重圧がかかり、王の心は"折れる"。
「わ、分かったその条約を結ぼう。これで民は無事に生きれるのだな?」
「当たり前じゃないですか。
私は深々と頭を下げる。サウスよ。長年の歴史に栄光を……。
残酷なほどに淡々と進んだこの会談は後に…
東南会談と呼ばれる。この会談によって結ばれた
開戦から東南会談までの流れを東南戦争と称した。
ー三年後ー
東南戦争から早くも三年が経った。最初のうちは、旧サウス内での反乱が何度かあったがすぐに鎮圧されるのに加え、イーストの制度や文化を多くの人が気に入り今ではそんな事は起きなくなった。ノースとの戦争は現在、どちらかといえば後ろ向きな状況だ。
条約締結後、戦死者の追悼式がすぐに行われナミの墓はあいつが最後を迎えたあの花畑に建てられた。
「ナミ、お前は気にしないかもしれないけどお前の仇は必ず討つ。俺が気にしてるから。大丈夫、ヘマはしないさ。」
じゃあな、ナミ。また来る。
『アズマ、また。いつでも待ってるよ。』
優しい風と共に花びらが舞う。
「気のせいか…。」
俺は花畑をあとにする。そして完成目前の、あの日戦った原型が、ほぼない合併国ラインを歩き始めた。
「アズマ様!」
「お、リン。どうかしたか?」
「あの…あの時のアズマ様が、気絶寸前の時のこと何ですけど……。ここ数年、忙しくて聞けてなくて……」
リンはなぜか恥ずかしがっている。なんかしたか?それとも忙しくて会えてなかったから少し人見知りが…?
「あー!リンが止めてくれたんだってな!サンキュー!」
俺は拳を突きだした。
「え?覚えてないですか……?え、あ、はい。私はいつでも助けますよ……。」
リンは後ろを向きグータッチをした。
「え?ちょ、何で?俺何かした?」
「何でもないですっ!」
この時、アズマ達は知る由もない。ある人物の行動により、イーストが滅亡に近づいてしまうことを……。
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