第三章 南の勇者編

第25話 短期間強化訓練及びダンジョン攻略-①

「四象景律(ししょうけいりつ)-節(せつ)。凩(こがらし)!」

第五十二層。俺はモンスターを一掃していく。

「ファイヤボール。」火属性魔法の初級技。今の俺には魔法威力五の十乗のバフがかかっているため、最上級魔法のゾンネケルン程の威力を出せている。

「ファイヤボールのコストでこれって、アニメキャラ顔負けだなぁ。」ドロップ品を回収しながら呟いているとボス部屋が見えてきた。

「意外と速かったな五十層超えまで。」先日、ワルパフさんにダンジョンに潜れと言われたので、早速来たわけだが、この前のようなハプニングなく順調に進んでいったのだ。

ちなみに、リンは王女としての雑務。シオンさんは私情にて来れないので俺一人だ。

なんやかんやで、こういうの初めてだから少しのワクワクと不安、(これは前回のせいだが…)を持ちつつダンジョンを攻略していた。

ボス部屋の扉の前に着くと一人の青年が立っていた。

「君、入らないの?」俺はその青年に聞いた。

「初めて来たので少し不安で…。」青年は手を頭に置きながら言った。

「じぁさ!一緒に行かね?」俺は青年に手を差し伸べた。

初めてで五十層超え…いや、初めてここまでこれたってことか…?どっちにしろ、待つのは面倒くさい…!

よくある話だが、ボス攻略中は他の人及びパーティーらボス部屋内に入ることができないようになっており、ボスを討伐あるいは死で次の人が挑戦できる。

「いいんですか?!ぜひ、お願いします!」青年は俺の手を握り、握手をした。

「よし、早速行こう!俺は東(あずま)。君は?」俺は扉を開け始めた。

「ミナミです!アズマさん、お願いします!」凄い日本人っぽい名前…。何回か勇者の召喚をしたことがあるって言ってたけど、流石に違うか…。


「ホンゲェ。」ボスが鳴いた。

こいつは五十二層ボスモンスター。ワニッコロ。超巨大なワニのモンスターかと思いきや、本体はホコリっぽいちっちゃいの。

「ちっこいのが本体なんですか?!可愛い……。」俺は今の情報をミナミに伝えた。

「ミナミ!何歳なんだ?」俺はとんでくるミサイルのようなものを避けながら聞く。

「十七です!」ミナミは軽い身のこなしで避けつつ、答えた。

「同い年じゃん!!タメ口でいいよ!」

ー四象景律-花(はな)、椿(つばき)ー!

俺が思いっきり攻撃を入れるとワニの装甲が剥がれる。

「え?!わ、分かりました!」ミナミは装甲に一撃入れる。

分かってないだろ……。

「ボゲェ!ボゲェ!」ちっこいのが慌てたような様子で飛び跳ねる。

「たっく……可愛いやつだな!ウィング!」風属性魔法の初級技を放つ。すると、ゴゴゴゴと音が鳴り始めワニの動きが止まった。

「ボゲェ……。」ちっこいのが悲しそうな顔をした。聞いてた話となんか、違うんだけど…。本来はワニの装甲が剥がれ始めると、本体からムキムキの体が生えて二ウェーブ目に入るはずだが…。

「魔法付与(エンチャント)、火属性。」ミナミは火属性魔法を剣に付与し、ボロボロの装甲をかち割った。

剣に魔法を付与?!そんな事したことねぇ!ミナミの絶加か…?

「ほげ………、■■■!!」

は?!また、…<❜-❜<、よ……!!ダン¿“ε“内が揺れハジ…ル……

クッソ……二…来¢"ε)………マジで!!



         °ε°<ホゲ?!


「アズマ!大丈夫?!」ミナミが俺を呼んでいた。

「あ…うん、大丈夫……。ミナミは?」

「僕も大丈夫だよ。」ミナミの手を借りて立ち上がる。

「ぴぃーぴぃー」何か弱々しい鳴き声が聞こえた。

「ん?ちっこいの?!」俺は思わず声を荒げる。

「わぁ!可愛い子だぁ!」ミナミはちっこいのの頭を指で優しく撫でていた。

「ボスは部屋から出れないはずだが…。でも、本に載っていた。情報と違う点がある……。こいつは、ボスじゃないのか?」

俺が聞くとちっこいのは頭をぶんぶんと振っていた。

「じゃあ…誰…?」

「アズマ〜そんな事いいじゃないか〜可愛いし。」ミナミは穏やかな表情で言う。

「まぁ、そうだけどさぁ……。」

「ガルゥ!!!」そんな事を言っているとモンスターの群れがやってきた。

「取り敢えず、コイツラを片付けないと…。」俺は剣を構える。

「そうだね。アズマ、強いし大丈夫なんじゃない?」さっきまでの感じとは違い、めっちゃ馴れ馴れしくなってる…別にいいけど…。

「ちっこいの、肩に乗っといて。」俺は肩をちっこいののほうに向ける。

「名前考えてあげないとね。」ミナミが言った。

「そうだな。」俺は同意しつつ、かつて追い詰められたモンスターに剣を振るった。





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