海を歩く
三州 誠一郎
夢を見た。海の底を歩く夢。ドキュメンタリーで見るような透明さは無く、太陽で照らされるほど浅くない。
深海は圧力が高く生半可な生命力では生き残れない。群れて生きようにも広過ぎるからなかなか他の仲間とも出会わない。もちろん魚がいたり珊瑚礁があったり多様性に溢れてはいる。
だからこそ敵も多い。ここは地上でいえばサバンナなのだ。生き残る為の手段を考えないと明日はない。しかしどうやら自分は強い方に入るようだ。つまり捕食者。無敵とは言えないが魚はその通り雑魚だ。
鋭い爪で挟み、一撃で仕留めることが出来る。固い甲羅はそう簡単に砕かれない。外骨格に包まれた強力な八本足は信じられない走力を発揮する。そう、私は蟹だ。
実を言うと魚は苦手だ。生臭いし鱗の食感も好みではない。ところで私は何者なのか、と蟹のままの脳で考えてみる。実際人間のはずだ。
アラームで目を覚ます。夢を見て以来、私はジャンケンで確実に負けるようになった。
海を歩く 三州 誠一郎 @Elz-zlE
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