LOGS:惑星間航路防衛2
─LOGS_DATA─
Time:西暦2209年9月21日
Recorder:戦闘報告
Place:惑星間航路
─LOGS─
(赤い閃光が宇宙船のすぐそばをかすめていき)
(一機のメックワーカーが胴体を貫かれて爆発四散する)
『ビーム兵器!ビーム兵器だ!』
『馬鹿な、メックがビーム兵器を使うだと!?』
(大出力のビームが空間そのものをなぎ倒し、展開していた敵のメックワーカーを次々となぎ倒していく)
《敵の使用するサポートAIと、イカロスに載っているLABに飛躍的な性能差はない》
《性能の近いAI同士が戦った場合双方に最適解を読み合いお互いの攻撃を回避、防御、無効化するため戦いに決着をつけるのが困難である》
《だがそれは、AIが制御する兵器の性能も互角であった場合の話である》
『が』
(断末魔は一瞬にして途切れる)
(抵抗も許されぬままビームに貫かれるメックワーカー)
(宇宙に次々と白い花が咲いていく)
《実弾武器は強力だが着弾までのタイムラグが無視できず、弾切れの問題もあるため長距離戦には向かない。レーザーは光の速さで飛んでいくため回避することがほぼ不可能だが、光エネルギーでは現代兵器の装甲を焼き切り戦闘不能にすることは難しい》
《その中間をとる第三の兵器》
《質量をもった粒子を亜光速まで加速し照射するビーム砲》
《その運用のために必要なエネルギーは莫大である》
《イカロスに搭載された中型核融合炉では出力が追い付かない》
《背部ブースターからのエネルギー供給を加えることでかろうじて実戦運用を可能としている》
『いやだ、こんな——』
(再び飛来するビームに貫かれ、爆発するメックワーカー)
《しかし、その効果は絶大である》
《メックや従来型の人型機動兵器ではプラズマを利用した高度な非線形マニューバを多用しなければよけることは困難であり、防ぐ場合も耐ビーム装甲技術を組み込んだ専用シールドを利用しない限り同様に困難である》
《そして彼らは》
《そのどちらも持っていない》
(貨物船につかまっていた一機の機体がスラスターを吹かして飛び上がり、機動し始める)
『くそったれ……』
『ちょっとダックス隊長、何をするんです!?船を盾にしないでください!』
—NOTE—
ダックス。
のちの調査で判明したところによると彼はかつてコロニー建設会社の建設作業員の一人だった。
人類が宇宙へ進出してからというものの、スペースコロニーの建設とその拡張需要はスペースバブルが崩壊した今となってもとどまることを知らない。故に企業間での抗争が起きる。それも物理的な。
ダックスはコロニー開発会社同士の縄張りを賭けたメックバトルで名を馳せた猛者だった。
奴は表舞台で一通り暴れたあと、裏に潜り、消息を絶った。
もともと自分の個人的欲望以外に興味関心のない男だ。
金に釣られてアンタイオスに雇われていても何ら不思議ではないだろう。
—LOGS—
『どうします?攻撃しますか?』
『スキャン結果を伝えろ』
『民間人の乗船は確認できませんでした。しかし絶対に乗っていないと言い切るのは困難です』
『乗っていたら人質として向こうから持ち出してくるはずだ。攻撃を許可する』
俺はLABにそう伝えると、LABはビーム砲とミサイルポッドを指向し敵の貨物船に向けて一斉射撃する。
『ダックスたいちょ』
(激しい爆発とともに貨物船は吹き飛ぶ)
(あたり一帯に煙が飛散し、敵がどうなったか確認できない)
(だが突然機体は激しく揺れ始める)
(ラックにかかっていたキーホルダーが強烈な振動で壁にたたきつけられる)
(機体の進路がまるで巨人につかまれたかのように急激に変わり始める)
(コックピットに戦慄が走った)
『なんだ!?』
『あまいんだよ!!』
『キリアン中尉、機体のカメラセンサーが原因を捉えました。ワイヤーです。爆風に紛れて極細の作業用ワイヤーを射出しイカロスと自機を強制的に連結させています!』
—META_DATA—
Logs:Mech Battler Crisis
Title:惑星間航路防衛2
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