LOGS:惑星間航路防衛3

─LOGS_DATA─


Time:西暦2209年9月21日

Recorder:戦闘報告

Place:惑星間航路


─LOGS─


『あの機体は……メックワーカーじゃない!?』

『検索開始……終了!敵機体は軍用ジョイントワーカー"アスカ"です!』

『はぁ?冗談だろ……!?』


《追加情報を要請》

《該当するメタデータをロードします》


─META_DATA─


Id:Asuka

Name:アスカ

Data:ビートルの後継機として開発された軍用ジョイントワーカー。


 従来型ジョイントワーカーを想定して比較的堅実なスペックにまとめられたビートルに対して、本機はノンジアデモの反省から対メックワーカーを想定した大幅なスペックアップが図られており、MECHを不採用とする代わりに既存技術によって機体性能を極限まで追求したことで治安維持軍の次期主力機としての座を勝ち取るに至った。


──


『こうなりゃ自慢のブースターも関係ねぇなああああああ!!!?』

『LAB、ブースターをオーバードライブ!引きちぎれ!』

『了解しました!』


(イカロスは一気に加速する)

(ワイヤーを通して繋がっていたダックスの機体は激しく揺さぶられ、強引に引きずられていく)


《宇宙空間の高速航行を想定した宇宙船・空間機動ユニットにはプラズマ技術を応用した慣性制御が備わっている》

《だがあまりにも急激すぎる加速》

《あるいは外部から加わった未知のエネルギーに対しては同様ではない》


(ダックスの乗るアスカに対して常人であれば失神するほどのGがかかる)

(ダックスは激しく揺れる機内でパイロットシートに押し付けられながら、それでも正面を見据えて絶叫する)


『ぐっ……俺はなぁ、てめえみたいな奴がだいっきらいなんだよ!!!どいつもこいつもバカみたいな形のメックを乗り回しやがって……』


(ダックスの乗るアスカはワイヤーを片手で掴む)

(サポートAIの制御によってスラスターを適度に吹かす)

(可能な限り姿勢を安定させたあとライフルを構える)


『てめえみたいな連中の鼻っ面をへし折るために、俺は毎日練習し続けた!かっこいい技名なんかねぇ!黙って消えろぉ!!!』


(イカロスはダックスのアスカからのライフルによる攻撃を左右に機体を揺らしながら的確に回避する。だがダックスの方もワイヤーを適度に引っ張ることでイカロスの運動を妨害しており、少しずつ、その被弾は無視できないものになっていく)


『くそっ……どうすれば……』

『……追加推論の必要性を確認……現状分析……機体データの再スキャン……キリアン中尉。現状を打開する方法を発見しました!』

『なに?』


(キリアン中尉は顔を上げ、LABの話に耳を傾ける)


『敵のワイヤーはイカロス本体ではなくブースターユニット、正確には居住コンテナに命中しているようです。しかし追加装備は緊急時のためにパージできるよう設計されています』

『!!!それだ!』

『チッ……弾切れか……だが……』


(ダックスの乗るアスカはイカロスの激しい急加速に揺さぶられながらライフルを投げ捨て、腕部のパイルバンカーを展開する)


『そのイカしたメックにドデカイ風穴開けてやるってんだ!!』


(ワイヤーを一気に巻き上げ急接近)

(イカロスに対して一直線に近づいていく)



(だが、突如として機体のバランスが崩れる)


『あ……?』


(ダックスの乗るアスカの目の前に、何かが急激に迫ってくる)

(その何かと次の瞬間激しく衝突し、アスカは激しい振動とともに高速回転し始める)


『ぐっはあああああああああ!?』

『撃てえええ!!』


(ダックスのアスカを真っ赤なビーム砲の閃光が貫き、アスカは爆散する)


 俺は帰りの燃料を考慮して通常推力で機体を減速させながらゆっくりと旋回、爆発した位置に戻ってくる。


『……居住コンテナ……跡形もねえ……』


—NOTE—


 本来の作戦計画では、イカロスは単独で地球圏の航路を数日間にかけて連続哨戒することになっていて、そのために取り付けられたのが居住コンテナだった。


 食事から睡眠まですべてがコンテナ内で完結する優れもの。なんでも民生部門で最近開発されたものをMECHの特性を活かしてイカロスに対して取り付けたもので、内装・設備ともに文句なし。過酷な長期任務をこなす俺に対して少佐と軍が唯一許したささやかな贅沢だった。


 しかし、今はもうない。


 俺は自分に唯一残された聖域となった、薄暗いコックピットの中で膝を叩き、思わず歯噛みせずにはいられなかった。


—META_DATA—

 

Logs:Mech Battler Crisis

Title:惑星間航路防衛3

  

——

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