LOGS:惑星間航路防衛1
─LOGS_DATA─
Time:西暦2209年9月21日
Recorder:戦闘報告
Place:惑星間航路
─LOGS─
(報告は回収された敵の行動ログから始まった)
(貨物船を取り囲む複数の武装したメックワーカー)
(その中に一機だけ周囲と異なる機体が混じっている)
(灰色に塗装された重厚な装甲、軍用規格のスラスター)
(様々なパーツの寄せ集めによって構成された周囲のメックワーカーと異なり、その全身はすべてが専用パーツによって統一されている)
(その機体はわずかにスラスターを吹かして近くにいた僚機のもとへ近づいていき、通信を開く)
『おい、いったいどうなってやがる。相手が救難信号を出してからまだ30分も経ってないはずだぞ』
『それはそうなんですが……レーダーの反応からして間違いはありません』
『ちっ……野郎ども、お宝漁りはお預けだ。ずらかるぞ!』
『そんなダックス隊長、相手は治安維持軍でしょう?民間船を盾にすれば手出しできませんよ』
『馬鹿か貴様は、その間に増援が来たらどうなる!膠着状態になったら分が悪いのはこっちなんだぞ。考える頭もないやつが口を挟むんじゃねぇ!』
(視点はコックピットの中へと切り替わる)
(ラックに取り付けられたボロボロのキーホルダー)
(スラスターの振動で揺れ動く)
(キリアン中尉の視線がキーホルダーに集中し、左右に揺れ動くそれを目を細めて見つめている)
『あと10分で敵の射程圏内に入ります』
『……了解』
(キリアン中尉は我に返ったかのように少し遅れて返事をし、正面に向き直る)
(レーダー上で、貨物船と重なって表示されていた複数の機体反応がゆっくりと離れていき、近くを航行していた別の船へと近づいていく)
(識別結果はそれがごく普通の民間船であることを示していた)
(ただしその外装にはいくつかの武装が取り付けられ、データベースの検索では盗難記録がヒットする)
『所属不明機、逃亡用と思われる宇宙船に到達しました』
『射程圏に入り次第射撃開始。ビームの出力調整は任せる。まずはエンジン区画を狙って逃走の足を止める。可能であれば燃料区画を避けて誘爆は避けるのが望ましい。艦内に民間人が乗っている可能性があるからな。可能か』
『敵が利用している宇宙船は平均的な民間貨物船です!データベースの情報をもとに推論を開始します!』
(イカロスはレーダー上でも目に見えるほどの速度で飛行を続け、どんどん距離を縮めていく)
『敵との相対距離1000kmを切りました!相対速度、秒速10km以上!なおも加速中。予測到着時間90秒!』
『何だと!』
『あいつは止まる気があるのか!?』
『強力なマイナスプラズマユニットを搭載しているのかもしれん』
『だとすると厄介だ。メックワーカーの推力では動けなくなる』
(加速する宇宙船の取っ手につかまっているリーダー格と思しき機体が再び通信を開き、指揮を始める)
『マイナスプラズマユニットを敵進路上100km地点に展開!全部だ!出し惜しみするなよ』
『マイナスプラズマユニット全弾射出、敵進路上100kmに展開最大出力!』
(格納庫の扉が開き、急造で設置されたと思しきプラズマ投射器から一斉にポッドが射出される)
(大量のポッドが宇宙船の斜め前方に向けて飛んでいき、宙域を丸ごと包み込むほどの巨大なマイナスプラズマを展開した)
(通常の機体であれば到底よけきれないほどの巨大なマイナスプラズマを)
《そのまま突っ込む》
《減速しながら迂回する》
《どちらにしても大幅な遅れは免れない》
《これが通常の機体であれば》
(突如、真っ赤な閃光が貨物船を貫く)
(激しい振動を伴いながら艦内の電力が一時ダウンする)
『なんだ!?』
『攻撃です!』
『馬鹿な、まだ敵との距離は数百kmもあるんだぞ』
『船のエンジンがやられた、電気系統もダウン!艦内予備電源に切り替えます』
『落ち着け馬鹿ども!やむをえん。このまま迎撃する。できる限り前進しろ。マイナスプラズマに突っ込んでエネルギーを失った相手が再び加速する前に叩く!』
『コンバットマニューバ!』
『了解!』
(異形の機体がその向きを大きく変え、背部に取り付けられた巨大なブースターの推力ベクトルを強引に捻じ曲げて、速度を保ったままその軌道を変え始める)
『まさか……迂回する気なのか!?減速もせずに!?あの大きさで!?』
『隊長、カメラを使って直接目視で観測しました。ただの高速艇じゃありません!メックです。人型のメックがバカみたいなブースターを吹かして突っ込んできます!』
(イカロスが手に持つ巨大な砲身がゆっくりと敵に向かって指向していく)
(その先端からあの赤い閃光がほとばしり)
(亜光速で敵の機体を貫いた)
—META_DATA—
Logs:Mech Battler Crisis
Title:惑星間航路防衛1
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