LOGS:奇襲攻撃

─LOGS_DATA─

 

Time:西暦2209年9月5日

Recorder:空間機動ユニットC班/サダ・アツシ/機外カメラ

Place:小惑星帯

 

─LOGS─

 

『小惑星帯まで入られたぞ!』

『追え!基地にだけは近づけるな!』

『航宙戦闘機でこの中を飛び回れと!?』

『訓練通りにやるんだ!』

『基地の戦艦はまだこないのか!』


(宇宙空間を幾何学的に飛び回る、5つの閃光)

(人工的に集積・形成された小惑星帯を縦横無尽に飛び回る武装したメックワーカー)

(宇宙用のスラスターを装着し、周囲の小惑星を巧みに足場としながら移動し続ける……そして航宙戦闘機が接近するとメックワーカーは小惑星の死角を利用して姿をくらます)

 

「くそっ、どこに……」


《距離が近すぎる》

《レーダーは役に立たない》

《センサーには反応がない》

《航宙戦闘機は小惑星帯の戦闘を想定していない》

《状況は極めて不利》

 

(C班に所属する航宙戦闘機12機は小惑星帯を一直線に駆け抜けていく)



 

(その様子を、小惑星帯の影から観察していた機体があった)



 

『あー』


(ライフルによる銃撃)

(閃光と爆発)


『!!!いたぞ!全機旋回!』

『ダニエル!畜生、ダニエルがやられちまった!』


(小惑星帯の上に潜んでいたメックワーカーは、そのまま一気に跳躍し、小惑星帯を幾何学的な動きで飛び回る)


《異常な性能》

《民生用パーツではありえない反応速度》


「こいつ、ただのメックじゃー」

『ミサイル!ケチるなよ!』


(一部の機体がミサイルを発射するが、メックワーカーは小惑星を盾にして全ての攻撃を防ぎ切る)

(航宙戦闘機は再度攻撃を行うために旋回を試みるが、突如として飛び込んできた謎のポッドが発光し、バチバチとしたプラズマに包まれ急速に減速し始めた)


『プ、プラズマ兵器……!!?』

『駄目です隊長!モロに範囲に入っちまった、速度を維持できません!』

『馬鹿野郎、この小惑星帯で足を止めたら……』


(そこへ現れた2機のメックワーカーがライフルとミサイルを撃ち込む)

(カメラの映像は、一瞬停止したあと暗転する)


─LOGS_DATA─

 

Time:西暦2209年9月5日

Recorder:キリアン・グラムス

Place:小惑星帯/ストーンマイナー駐屯地

 

─LOGS─

 

「強いな……」

「戦艦を出せ!小惑星帯のメックに対抗するには主力艦の装甲と火力が必要だ」


 基地司令の大佐が通信ウィンドウに向けて檄を飛ばす。


 ウィンドウを開き、ストーンマイナー駐屯地宇宙港のカメラ映像に切り替えると、戦艦に接続されている無数の管がプシュプシュと煙を立てながら分離していく様子が映っていた。


 だがカメラの映像が一瞬揺らいだあと、突然入り口が崩落を始める。瓦礫は戦艦の艦首をかすめ、その入り口は完全に塞がれる。


……どうやら、相手の方が一足早かったらしいな。


《巨大な戦艦も使えなければ意味がない》


「クッ……」

「基地司令、お話したいことがあります」

「なんだ、ルーカス少佐」


(基地司令の横からルーカス少佐が近づく。落ち着き払った冷静な声で司令に話しかける)

 

「私の記憶が正しければこの基地には戦艦の他は航宙戦闘機、そして小型の補助艦艇しか存在していなかったはず。これでは武装したメックワーカーに対応することは困難です」

「分かっている、それがなんだ」

「新型を投入します。今回の実証試験では同時に開発された実弾兵装のテストも行う予定でした。30分……いや10分で出撃できます」


(基地司令の顔にわずかな動揺が浮かぶ)

 

「なんだと?しかし……」

「全責任は私が持ちます。ここで基地が壊滅すれば、基地の兵士たちはもちろんのこと、この小惑星帯で採掘作業中の民間人にも危害が及ぶ可能性がある。司令、ご決断を」

「ぐぅ……だが、仮にそうするとして、あれのテストパイロットはまだ到着していなかったはず。代わりに誰を乗せるというんだ」


ルーカスはそこで一瞬顎に手を当て考えたあと、すぐさま顔を持ち上げ基地司令の目を見据える。


「……通常であれば、いま基地に残っている中で最も経験豊富なパイロットを代わりに乗せるのが妥当でしょう」

「今残っている中で、最も経験豊富なパイロット……」


 基地司令はゆっくりと振り向く。

 

 離れた場所で椅子に座る俺を見据える。


「キリアン中尉、できるか」


—META_DATA—

 

Logs:Mech Battler Crisis

Title:奇襲攻撃

  

——

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