電気スタンドの怪

Y隊員

第1話

なんとまぶしく、チリチリと焼けるような熱。

これが知らなかった世界か。

初めての経験に目の上に影を作るように手が動いた。このような事はした事がない。


まぶしい‥実感。

新鮮な驚きに身が震えているとあおられるような風が吹いてくる。

涼しい?そうか、涼しいという感覚か……


目が慣れてきた。周りを見てみよう。

動けるだろうか?

足元は…硬い、滑るな。

よし、ゆっくりだ。落ち着け。自分だけだ。


だが、何かがこの硬く滑る足元でない所にいるようだ。


「今日は何か予感するな…」

俺はまた出て来そうだと電気スタンドを見る。


何かの気配はまだある。

少し考えてみる。

顎に拳をあてて首をひねる。

足元は円錐形の底に向かうように広がっているようだ。その先はここよりも明るさが少ない。

空いている底へ向かうためゆっくりと降りていく。下へ行くほど熱が遠くなる。

探検をするのによいかもしれない。



「うん。来るぞ。何なんだ?毎回毎回……」

俺は電気スタンドの中に何かが動いているのを感じる。


何の気配よりも探検への気持ちが早る

底へ向かい、空いた場所からちょっと覗く。

もっと広い世界だ。光も熱も違う。

頭を出してもっとよく見ようと乗り出した。


「捕まえた」

俺は毎度お馴染みのやつを掴んだ。


黒い影が頭上を覆った。

あの気配はこれか?このようなものは何だ?

強い力で体を掴まれた。抜けられない。


「これ、何処から来るんだ?人型の薄い紙。

まぁ、燃えるからいいか」

俺は掴んだやつにライターで着火する。


シュッボっと音がして足元から違う熱さが煙と共に上がってくる。頭をつままれたまま。

無念。


「何でこの電気スタンド……こんなんばかり出て来るんだ?」

俺は灰皿代わりの缶の中に落とした。


メラメラとした赤い揺らぎに飲み込まれた。

またやり直しだ。次は…


「なぁ、俺、誰かに恨まれてる?」

俺は燃え残りが残らないのを不思議に思う。


「何か知っていたら教えてくれよ」

電気スタンドが答えるわけがない。

そんな事あったら廃棄だ。廃棄。


スイッチに手を伸ばし、消そうとすると

どこからか忍び笑いが聞こえた気がした。

「寝よ」



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電気スタンドの怪 Y隊員 @YTai

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