第27話:三人で届く、一撃の距離
「――行くわよ!」
アカリが最初に踏み出す。
速い。
さっきまでとは、明らかに違う動き。
「――はああああ!!」
連撃。
腕、脚、関節。
一点じゃない。
“崩すための攻撃”。
――ガガガガガ!!
「……」
敵は、受けている。
だが。
「……無駄だ」
完全には止められていない。
それでも。
「それでいい!」
アカリが叫ぶ。
「止める必要はない!」
「“ズラせばいい”!!」
『なるほど』
その一瞬。
体勢が、わずかに崩れる。
「今よ!」
セラが前に出る。
「干渉、停止」
手をかざす。
「――ロック」
空間が、きしむ。
――ピキィン
「……っ!?」
敵の動きが、一瞬だけ止まる。
「これが――」
セラが歯を食いしばる。
「限界……っ!」
『きたあああああ』
「ユウマ!!」
二人の声が重なる。
「今!!」
「……っ!」
踏み込む。
迷いはない。
「ここだ!!」
ナイフを振り上げる。
敵の胸部。
“核”。
さっきまで届かなかった場所。
だが――
「……見える」
今は違う。
外殻の干渉が、止まっている。
「――叩き込む!!」
――ザンッ!!!
確かな手応え。
「……っ!!」
核に、届いた。
『いけええええええ!!』
だが――
「……浅い!」
ヒビ。
確かに入った。
だが、砕けない。
「……耐えたか」
敵が、初めて言葉を漏らす。
「……っ!」
セラの拘束が、限界に達する。
――バキン
「っ……!!」
解放。
「離れて!!」
アカリが叫ぶ。
「来る!!」
その瞬間。
敵の体が、膨張する。
「……またかよ」
嫌な予感しかしない。
「干渉、再開」
低い声。
「適応、完了」
「……は?」
『進化した!?』
ヒビが入った核が、再生していく。
「おい……」
「……分析更新」
セラが呟く。
「さっきの一撃で、“対策”された」
「……マジかよ」
「同じ手は、もう通用しない」
沈黙。
「……クソゲーかよ」
思わず漏れる。
敵が、ゆっくりとこちらを見る。
「理解した」
「お前たちは――」
一瞬の間。
「単体では弱い」
「……」
「だが」
「連携すると、危険だ」
『ちゃんと評価してきた』
「だから」
構える。
「優先的に、排除する」
「……来るぞ!」
次の瞬間。
敵が動く。
だが――
「……っ!?」
さっきと違う。
速い。
重い。
そして――
「対象、変更」
「……なっ!?」
視線が、アカリへ向く。
「やめろ!!」
遅い。
――ドンッ!!!
「きゃあっ!!」
アカリが吹き飛ぶ。
「アカリ!!」
「次」
今度は――
セラ。
「……っ!」
「させるか!!」
間に入る。
――ガキィィン!!
受ける。
「……っ!!」
腕が、痺れる。
「……なるほど」
敵が、静かに言う。
「順番に削る方が効率的だ」
「……ふざけんな」
ナイフを握り直す。
「それでも――」
一歩、前に出る。
「止める」
「……」
敵が、わずかに首を傾げる。
「なぜだ」
「勝てない」
「効率も悪い」
「合理性がない」
「……」
少しだけ、笑う。
「そういうの」
一瞬の間。
「嫌いじゃない」
「……は?」
「理由なんて簡単だ」
ナイフを構える。
「仲間だからだ」
「……」
一瞬、沈黙。
そして。
「……理解不能」
敵が構える。
「だが」
一歩、踏み出す。
「排除する」
その瞬間。
再び激突した。
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