第21話:勝者と、“消えなかったもう一人”

「――っ!」


激突。


火花が散る。


今度は――


俺が押している。


「……くっ!」


“もう一人の俺”が、初めて後退する。


『逆転きたあああああ』

『ユウマ勝ってる!!』


「どうした?」


一歩、踏み込む。


「余裕じゃなかったのか?」


「……っ!」


焦り。


確かに見えた。


「未来が見えないのは、どうだ?」


「……チッ!」


そいつは舌打ちする。


「調子に乗るな」


「乗るだろ」


即答。


「勝ってるんだからな」


『煽り性能高すぎwww』


「……やっぱり気に入らねぇ」


そいつが低く呟く。


「その“顔”」


「そりゃどうも」


さらに加速。


「終わりだ」


一撃。


――ザンッ!!


「……っ!!」


確実に入った。


深い。


「はぁ……はぁ……」


そいつが、膝をつく。


「……やるじゃねぇか」


「当然だろ」


ナイフを構えたまま、言う。


「お前は“捨てた”」


「俺は“持ったまま進む”」


「その差だ」


「……」


沈黙。


そして。


「……はは」


小さく笑う。


「やっぱり――」


顔を上げる。


「“こっち”が正解か」


「……は?」


『え?』

『どういうこと!?』


「最初から」


そいつは、静かに言う。


「分かってたんだよ」


「……何を」


「どっちが正しいか」


一瞬の間。


「だから来た」


「……」


理解が、追いつかない。


「……お前」


「ただの敵じゃないのか?」


そいつは、少しだけ笑う。


「敵でもある」


「でも――」


一瞬、優しい目になる。


「“可能性”でもある」


「……」


「お前が選ばなかった未来」


「それが、俺だ」


「……」


言葉が、出ない。


「だから」


そいつは立ち上がる。


傷があるはずなのに。


「役目は終わりだ」


「待て」


「まだ話が――」


その瞬間。


体が、崩れ始める。


「……っ!?」


「なっ……!?」


『消える!?!?』


「心配するな」


そいつは笑う。


「死ぬわけじゃない」


「……どういうことだ」


「統合だよ」


「……は?」


「俺は、お前になる」


「……っ!」


理解した瞬間。


「待て!!」


手を伸ばす。


だが――


触れた瞬間。


光に、変わった。


「――っ!!」


体の中に、流れ込む。


「がああああああ!!」


激痛。


「ユウマ!!」


アカリの声。


「しっかりして!!」


セラも叫ぶ。


「耐えなさい!!」


意識が、揺れる。


中に、“何か”が入ってくる。


記憶。

感情。

選ばなかった未来。


「……っ!!」


その中で。


最後に、声がした。


『――間違えるなよ』


「……」


意識が、落ちる。


そして――


目を開けた。


「……ここは」


遺跡。


アカリとセラが、目の前にいる。


「ユウマ……?」


「大丈夫?」


「……ああ」


体を起こす。


「問題ない」


そう答える。


だが――


「……」


視界の奥で。


“もう一人の俺”が、笑っていた。

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