第22話:強くなったはずなのに、嫌な予感しかしない
「……本当に大丈夫?」
アカリの声が、いつもより少し近い。
「何回目だそれ」
「だって……」
心配そうな顔。
「さっきの、明らかに普通じゃなかった」
「……まあな」
正直、否定はできない。
「でも、一応動ける」
軽く手を握る。
問題ない。
むしろ――
「……軽いな」
体が、異様に軽い。
「それ、良いこと?」
セラがじっと見る。
「さあな」
少しだけ、試してみる。
一歩、踏み出す。
――ドンッ
「……っ!?」
地面が、抉れた。
『え?????』
『今のただ歩いただけだろ!?』
「……おいおい」
自分でも引く。
「加減、効いてないわね」
セラが冷静に言う。
「完全に制御できてない」
「……だろうな」
さっきまでと、明らかに違う。
「……これ」
アカリが小さく呟く。
「“あっち側”の影響?」
「だろうな」
“もう一人の俺”。
その力が、混ざっている。
「……」
その時。
――ズキッ
「……っ!」
頭痛。
「また!?」
「……いや」
今度は違う。
「……見える」
自然と、口に出る。
「何が?」
「全部」
空間。
流れ。
気配。
すべてが、“理解できる”。
「……マジかよ」
『また強くなってて草』
『インフレ止まらんwww』
「……でも」
違和感。
「……なんだこれ」
“見えすぎる”。
良すぎるはずなのに。
どこか、不快だ。
「……ユウマ?」
「……ああ」
顔を上げる。
「ちょっと、慣れが必要だな」
「それで済めばいいけど」
アカリは不安そうだ。
その時。
「――そろそろ、来るわよ」
セラが静かに言う。
「?」
「さっきの戦闘」
「かなり“派手”だった」
「あー……」
確かに。
「つまり」
一瞬の間。
「“寄ってくる”」
その瞬間。
――ゴゴゴゴゴ
地面が揺れる。
「……来たな」
『フラグ回収はやすぎwww』
影が、現れる。
一体、二体、三体――
「……多いな」
今までとは比べ物にならない数。
しかも。
「……全部、強い」
Sランク級。
『詰みでは?』
『これヤバいやつ』
「どうする?」
アカリが構える。
「逃げる?」
「……いや」
俺は前に出る。
「試す」
「ちょっと!?」
セラが呆れる。
「この状況で!?」
「今だからだ」
ナイフを握る。
「どこまでできるか」
「……」
アカリが息を吐く。
「分かった」
「フォローする」
「私も」
セラも並ぶ。
「一人でやらせない」
「……ありがとな」
その言葉に、少しだけ安心する。
だが――
「……」
心の奥で。
“もう一人の俺”が、囁く。
『全部やれ』
「……っ」
一瞬、意識が揺れる。
「ユウマ?」
「……行くぞ」
踏み出す。
その瞬間。
【スキル発動:《運命改変(バグ)》】
「……え?」
自分の意思じゃない。
勝手に、発動した。
『うわあああああ』
『暴走!?!?』
「……おい」
止めようとする。
だが――
「止まらない」
世界が、歪む。
そして。
「――全部、終わり」
気づいた時には。
目の前の魔物たちが。
すべて、崩れ落ちていた。
「……は?」
静寂。
『え???????』
『一瞬で全滅した!?!?』
「……今の」
アカリが震える声で言う。
「あなた、何したの……?」
「……分からん」
本気で。
「気づいたら、終わってた」
セラが、じっと俺を見る。
「……やっぱり」
「これ、危険ね」
「……だろうな」
強くなった。
間違いなく。
だが――
「……」
この力。
本当に、使っていいのか?
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